二の悲劇 (ノン・ポシェット)/祥伝社
¥730
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みなさんこんばんは~。
 
先週の大雪が嘘みたいに日差しの暖かな週末でしたね。
梅の花を見に行かれた方も多いんじゃないでしょうか。
「春を待つ桜よりも、春を連れてくる梅がいい」とは
舞台『LOOSER』の中での芹沢鴨の台詞ですが、
素敵な言葉だなぁと思います。
 
さて、本日の本は法月綸太郎さん『二の悲劇』。
悲劇シリーズ(?)としては二作目なんですけども、
時系列としては『ふたたび赤い悪夢』の次にあたります。
 
作品中には、前作でひと悶着あった、
吉本ばぎな(これクレーム来ないのかしら……)の
あの映画が公開中で、しかもその内容が事件に絡んできます。
法月さんの高校時代の友人、久保寺さんも出てきます。
 
シリーズ物ってこういうところが楽しいんですよね。
 
さて『一の悲劇』が一人称で書かれたものだったのに対し、
『二の悲劇』は「きみ」とういう二人称を中心に据えた異色の作品。
読者は誰かから「きみ」と呼ばれる二宮良明パートと、
彼の近傍で起こったとみられる事件を追う法月パートを
交互に読まされることになります。
そして神の視点を持つ読者は「?」にさらされ続けることになります。
 
以下ネタバレ
 
法月さんの作品にしては珍しく登場人物がすくない。
でもやっぱり絶対誰かが浮気してる。
理想化された女性像と現実の女性像の間でゆらゆらしてる。
 
事の発端は清原奈津美が京都で偶然出会った二宮良明と恋に落ちてしまったこと。
しかし一番の問題は二宮良明は彼女を百合子と勘違いしていたこと。
勘違いをただすこともできずに百合子の名を語って
偽りの愛を育み続ける二人。しかし秘密はそれだけではなくて……。
 
話を読んでいて二宮良明が実は死んでたりしたら面白いだろうなー
とすごく無責任に考えていて、実際に死んでたのを聞いたときは
「え!どうすんの!法月さんオカルティック方面行っちゃったの!?」
と心配しました。いやはや取り越し苦労でありました……。
 
(どうでもいいけど法月さんっていちいち気障ったらしいです。
「さかさまに埋めてくれ!」ってどういうプレイなのと。
生き残った探偵という化石を土に埋めればいいのかと。
その芝居がかったところが好きなんですけども)
 
実は「きみ」と良明の名を読んでいたのは双子の弟、
お前チョイ役の癖に最後全部持ってったな!!
 
二人称を逆手に取った構造がすごく綺麗なんですよぉ。ジタバタ。
確かに良明は他人であり「きみ」であるのだけれど、同時に自分でもある。
奈津美と同じように自分を偽ってまさに「悲劇」に陥った二人。
畳職人です!これは!綺麗に畳んでる!!