悪魔の手毬唄 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥740
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みなさんこんばんは。
 
少しずつですが温かくなっているようですね。
もう梅の花が咲いている場所もあるのだとか。
そんな管理人にも春よ来い。
 
さて、本日の本は横溝正史『悪魔の手毬唄』です。
先日『僧正殺人事件』の見立て殺人を読みまして、
そういえば日本にも有名な見立て殺人があるじゃまいか!
と、本作を手に取りました。
 
これは時系列的には獄門島の後らしいですね。
岡山の磯川警部もご健在です。
ゆっくりと養生するために岡山の田舎にやってきた金田一ですが、
もちろんゆっくりと休めるわけもなく、
23年前の事件に端を発した陰惨な連続殺人事件に
巻き込まれてしまいます。
 
昔の作品の常なのか、端役も含めたら登場人物が多いので、
慣れてない人は家系図を作った方がいいかも!
後々の展開がわかりやすいです。
 
以下ネタバレ
 
この土地で昔に歌われていた手毬唄にのっとって
泰子(枡屋の娘・枡と漏斗)
文子(秤屋の娘・大判小判とともにつるされる)
里子(錠前屋じゃないのに殺される)
が次々に殺されて行きます。
獄門島の時も思いましたが、死体の華々しさというか
その画を想像した時の色彩豊かな描写、
直接的な表現がないのに感じる女性の肉体の生々しさ
がビンビンに伝わります。
あれ、横溝さんって死体好きな人?
 
見立て殺人はちょうどいい手毬唄があったからで
あまり必然性はないように感じたけれどあったのかな?
でもそのおかげで里子殺しは犯人のミスだと判明したからいいのかな。
 
事件の発端は23年前に死んだ青池源次郎という男。
こいつヤリ過ぎ。盛りつきすぎ。
田舎の風呂屋の肩身の狭さっていうのは
今の自分には想像もできないものだったんでしょうね。
でもそれで捨てようとした自分の奥さんに殺されているから
マジで自業自得。
 
青池リカさんもかわいそうだよほんと……。
長男イケメン・次女もかわいこちゃんなのに痣のせいでこんなことになって。
里子さんも自分の腹違いの姉の身代わりになって死ぬとか
もうこの親子マジかわいそう。
 
金田一シリーズ何作か読みましたけど、
金田一は考えを小出しにしてくれないから
最後の最後に畳み掛けるように事実が明らかになってるので
読み終わった後の脱力感というか、
この作品の言葉を借りるなら精神的弛緩が激しいですね。
金田一が磯川さんに言った最後の言葉が
事件をドラマチックに締めくくっていますね。