- 奈落 ホラー・アンソロジー (集英社文庫)/集英社
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皆さんこんばんは~(*´∀`*)
今日は海にダイビングの予定でしたが、
台風の影響で中止になりふてくされている管理人です。
今日で夏休みが終わりっていう人もいらっしゃるのかな、
宿題のラストスパート頑張ってくださいね!
昨日、本命だった企業から不採用通知が来まして、
珍しく落ち込み気味です。
本当に落ち込んでいる時って本すら読めませんよね。
同じような思いをしている休職中の皆さん、
頑張りましょうね。諦めなければ大丈夫だと信じてます!
さて、本日はホラーアンソロジー『奈落』です。
集英社から出ているアンソロジーなんですが、
これの姉妹本の『白昼夢』を昔読みまして、
とても面白かったのでこちらも読んでみました。
結果的に言うと私は白昼夢のほうが好きですが、
あまりホラーでは目にしない作者さんたちの作品が
読めるので、ミステリー・ハードボイルド好きな人にはいいかも。
また、ホラーアンソロジーと銘打たれていますが、
ホラー要素はそんなに強くないです。
怖がらせるのが目的というよりかは、
良質な奇談をいろんな角度から楽しんでくださいな。
という編み方をされているような気がします。
以下1作ずつ一言感想
①黒いベールの貴婦人 加納朋子
ええ!あんなほっこり作風の加納さんがホラー(°д°)
とびっくりしましたが、引き込まれる話の緩急や
ノスタルジックな風味の怖さが心地良かったです。
医療ミスで死んだと思われていた少年の幽霊に死を運んだのは
黒いベールの貴婦人カラスアゲハだった。
死んだ少年と、死と生をさまよう少女、そして主人公。
この三人を描く色使いまで見えるくらい
印象深い作品。
②梢のそよぐ下 山上龍彦
父と姉が事故で死ぬ前に、
彼らが3人の黒い魔女に殺される夢を見た麻子。
その妄想は彼女たちが現実に現れることで日に日に強くなる。
果たしてその妄想は現実なのか、それとも激しい思い込みなのか。
ホラー小説=オカルト的な現象を鵜呑みにして信じてしまう
という落とし穴?に気づいてはっとさせられました。
③怯える 貫井徳郎
貫井さんはホラーもお書きになるのね~と思って読んでいたら、
らしいというかなんというか超自然的なことは何も起こらない
リアリティのあるホラー。
ちょっとした気持ちのすれ違いで、
大切な人のことが信じられなくなり疑心暗鬼に陥る奥さん。
徐々に内側から家庭が崩壊していく様が苦しいです。
④きりぎりす 佐藤哲也
これは短いけど理不尽な恐怖はNo.1
チェーンソーを持ったきりぎりすが追いかけてくる。
小規模なパニックムービーなんだけれども
前半の独特な雰囲気との対比が面白いです。
⑤特殊治療 藤田宣永
病床に伏せる男にベテランの医者が話した話は
荒唐無稽さ大爆発の怪奇話だった。
なんと彼の惚れた女は半分ヒル(血を吸うやつね)であり、
彼女に見初められた彼もまた手術で半分をヒルにされてしまったと。
そして彼らの娘が惚れたのは病床の男で……。
⑥鳥肌 桐野夏生
女流ハードボイルド作家で有名ですが、
本当に女性!?っていうくらい男っぽい読後感。
男性特有の同族嫌悪というか、「コイツは俺よりマシだから」という目で
同僚と付き合ったり、見栄を張ったりする描写が上手い。
競馬に赴く一人の男と、彼を追う見知らぬ男。
男はどうして追いかけられているのかわからない。
そしてなんだか最近記憶があやふやで……。
失った記憶が蘇った瞬間に、
彼の卑屈だが平穏だった人生が終わりました。
⑦銀色列車 かんべむさし
この本は1997年に出たそうなので
銀色列車が走り始める2007年は10年後ですね。
そして今はもう2013年です。
当時はこれは笑い話として楽しめたのかもしれないですが、
今はリアルな恐怖ですよね。
老いない人間はいないのだもの。
銀色列車ということで、近未来のハイテクな列車かなーと思いきや、
シルバーという意味だったのですね……。
⑧骨のモチーフ 佐々木譲
都会から越してきた一人の女性画家を襲う田舎の恐怖かと思いきや、
彼女はもっともっと怖かった。
骨のモチーフ&骨を集めているというタイトルから
ラストはそれなりに予想できるかと思います。
もしかして職員さんが食べた肉料理って((((;゚Д゚))))
以上の8篇でした。
どれもそれなりに面白いんですが、
「これだー(((((└(:D」┌)┘)))))))」とまでは思わなかったかなぁ。