- アンダー・ユア・ベッド (角川ホラー文庫)/角川書店
- ¥660
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皆様こんにちは~(*´∀`*)
もうすぐ8月も終わり。
今日から学校という学生さんもちらほらいるみたいですね。
長い長い休みの後は登校が億劫だと思います。
もしかしたら学校に行くのが苦痛だ、
という状況に置かれている方もいるかも知れません。
かくいう私も学校は大嫌いでした。
友達いなかったしね。
そんなときは暴力的なホラー小説でも読んで
つまらない現実からトリップしちゃいましょう。
皆さんに会った本は、きっと味方になってくれるはず。
さて、偉そうなことを書いている糞ニートがオススメする
本日の本は大石圭さん『アンダー・ユア・ベッド』です。
訳すと「あなたのベッドの下で」かな?
その名のとおり、ベッドの下で息を潜めて
じっと聞き耳を立てるストーカーが主人公です。
以下ネタバレ
9年前にたった一度だけコーヒーを一緒に飲んだ
高嶺の花というのもおこがましいほどの憧れの女性、千尋。
ふとしたきっかけで彼女から与えられた幸せを思い出した主人公三井は
彼女の現在の生活をのぞき見るために湘南へと移り住みます。
新たな土地での彼女は立派な夫と結婚していましたが、
彼女自身はひどくやつれて見えました。
その原因を探るために近くで古代魚のショップをやりながら
三井はストーキング行為に拍車をかけていきます。
望遠鏡での監視、盗聴器の設置、
店員として家に入り込み鍵を拝借……。
これだけ言うとほんと片思いの気持ち悪い
サイテー男なんです。
でもその想いは独りよがりだけど本当に純粋なんですね。
本当に彼女に幸せになって欲しい、それだけ。
自分がどうこうしようなんて全く思ってない。
自分はずっと前からそこにいない、
いるかいないかわからない路傍の石に過ぎないとわかっているから。
いつの間にか読者は主人公に感情移入して、
彼とともに千尋の夫の暴力に憤り、
何もできない臆病な自分に悔しくなります。
特に自分がソファの下にいるときに
千尋が夫に暴力を振るわれている時の三井の気持ちが
痛いくらいに分かる。
今すぐにここから飛び出して夫を取り押さえればいい。
だけどそんな形で出て行ったら千尋にどう思われるか。
自分が一番だいじに想っている千尋に決定的に軽蔑される。
この思考回路がどんなに卑怯なものか自分でもわかっている、
でもソファから飛び出すことはできない。
今まで送ってきた花束も、水槽の掃除も、
内職を手伝ったことも、なんの意味もなさない悔しさ。
そうこうしているあいだに夫の暴力はどんどん激しくなり、
千尋は幼い娘を連れての逃避行を決意します。
しかし、あっさりと居所を突き止められ、
激昂した彼に半殺しの目に合わされます。
もう読みながら祈ってましたよ( ;∀;)
もう変態でもなんでもいいから早く行け三井!と。
もう逃げずに行ってくれ頼むから!と。
千尋が盗聴器に向かって言った「ねぇ、助けて」の言葉で
三井は路傍の石ではなくなったんですね。
淡々と旦那を殺す三井の未来はきっと破滅しかないけれど
彼はきっと後悔だとかそういうものは一切しないんだろうな。
謙虚だけど独りよがりなとてもバランスの悪い彼の献身に
バスの中だったのにウルッときてしまいました。
普通に恋をして、対等に恋をして
別れて泣いて、また誰かを好きになって、
こういった経験のある人は彼の気持ちはわからないかもしれませんね。
彼が9年間彼女のことを覚えていたのはそれが純愛だったからじゃなくて、
その思い出を塗り替えるような出来事がなかったからなんだな
って思うんですよね。それほど彼の人生には何も起こらなかった。
そういう見えない彼の生い立ちみたいな部分にも
非常に興味をもちました。
内容がグロテスクすぎるけれど、
私は好きです。久しぶりに好きな本に出会いました。