本格ミステリー館 (角川文庫)/角川書店
¥546
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みなさんこんばんは~(*´∀`*)
 
私の部屋にはテレビがないので世事からは
本当に疎い生活を送っているのですが、
今日から24時間テレビが始まっているようですね。
 
こういう番組を見ると、自分が本当に心の汚れた
卑しい人間に思えて思いっきり凹むので
なるべく見ないようにしています。
その代わり、毎週微々たるものですが
募金をして罪悪感を和らげております。
やなやつだな……。
 
さて、本日は小説じゃなくて対談集。
島田さん綾辻さんの『本格ミステリー館』です。
もう20年くらい前の対談なので、今とはずいぶん様子が違います。
まだ綾辻さんの人気が確立されて
追随する新本格の作家さんたちがぐあーっと
出てきた時代だったんですね。
麻耶さんのデビューの年だそうな。
 
ミステリー小説にありがちな批判や疑問について
お二人が結構ギクシャク対談していますwww
お互いに若干遠慮が見られて、
あまり意見をぶつけようという気持ちを感じないですね。
まぁ喧嘩腰になるのも意見を押し付けるのも
見たくないですけれども……。
 
第一の部屋ではx軸に「論理と情動」
y軸に「幻想とリアリズム」を配し、
過去の作品群を配置していく作業をしています。
ここで日本にはいかに本格「推理」が多く
本格「ミステリー」が少ないかという話になります。
しかしお二人の幻想感の食い違いでちょっとぎくしゃくw
綾辻さんは幻想をあくまで日常の延長と捉え、
島田さんは日常からの逸脱と捉えている感じ。
だから何が本格ミステリーなのか?という
明確な線引きは結局できていないんですね。
これはほかの作家さんの意見を聞いてみたいなぁ。
 
第二の部屋では社会派の存在について。
一時期の出版業界は清張の流れに与する
社会派以外はだめだみたいな風潮があったんですね。
事あるごとに出てくる「人間を描けていない」という批判に対する
ミステリーという本質を用いた反論です。
 
第三の部屋では「人間を描く」に関しての掘り下げ。
綾辻さんの主張は最もだと思いますね
「人間を描く」ということが絶対不動の一位でなくてもいいという。
確かにパズルとして面白ければ、トリックに驚ければ
動機がどんな怨恨だろうが犯人がどんな主張を持っていようが
あまり関係ない気はします。
私も人間味のようなものはいい作品の必要条件ではあるけれど
絶対条件ではないなと思いました。
 
第四の部屋では作家を続けていく原動力のようなもの。
島田さんは過激で大きなムーブメントの立役者故か
批判を浴びることが多いのですねw
綾辻さんは平和に生きていそうwwww
 
第五の部屋ではトリックのオリジナリティーについて。
これって興味ありますよね!
どっからどこまでがパクリなんだろうっていうね。
結局は作品のクオリティを見て判断ってことなのかな。
トリックデータベースができたらというのは
面白そうと思う反面一発大きい名作の出現を
ますます見逃してしまいそうな気がしますね。
 
第六の部屋では日本人とミステリーの相性について。
アメリカではもうパズラーって絶滅してるんですねぇ。
それを進化というのか難しいところですが。
日本にパズル好き文化が根付いていてよかった(´∀`)!
 
第七の部屋では大好きな『占星術殺人事件』に関して、
京都の不思議な魅力と占星術のおくぶかさについて。
綾辻さんのペンネームってそんな最強のペンネームだったのね((((;゚Д゚))))
 
第八の部屋では作家という職業全般について
島田さんも綾辻さんも楽器をやってらっしゃるんすね。
井上夢人さんはプロ並みの腕前なんですね!
こういう作家さんたちの交流も読んでいて面白い。
 
第九の部屋ではこれからのミステリーについて。
とにかく島田さんはミステリー界、もっというと作家界全般について
明確な危惧を抱いていて、注意を喚起してらっしゃいますね。
綾辻さんはもっとのびのびとというか自由に
やりたいことやればいいじゃんみたいなスタンスに感じました。
 

お二人共大好きな作家さんだし、仲もいいと聞いていたので
どんなかな~と思っていたのですが、
結構思っていることは違って、譲れないこだわりもあって
すり合わせしきれないミステリー感の違いみたいなものが感じられました。
でも確かにどちらの主張も頷けるし、
結論を出すことが大事なのではなくて、
こういう対談によって若い作家さんたちが
鼓舞されることに意味があるのかもしれませんね。
完全な素人の私は普通に楽しく読ませていただきました(・∀・)