- 鍵のない夢を見る/文藝春秋
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皆さんこんばんは~(*´∀`*)
今日はなんだか体調が悪い管理人です。
夏バテかしら……歩くと心臓がバクバクいって
とたんに身体がだるくなるんですよね。
今日は仕事の合間に休憩室にこもるくらい
しんどかったです。
体調を崩すことが多い晩夏、
皆さんもお気をつけくださいね。
さて、本日は辻村深月さん『鍵のない夢を見る』
直木賞受賞作だそうです。
辻村さんは綾辻先生の大ファンで、
ペンネームに『辻』の字を使われているのだとか。
本作は5つの短編が入っておりまして、
とある女性が言葉で表現するのが難しい
ねっとりとした不幸に捉えられて行きます。
描写がとっても上手だと思いました。
ある人物の何気ない一言で、
小さい頃のクラスのヒエラルキーで、
報われない想いを引きずり続けて、
確実に傷ついて壊れていく主人公の気持ちが
まー痛いくらいに伝わります。
①仁志野町の泥棒
大人になって見かけたかつてのクラスメイト、
そのクラスメイトの母親は実は泥棒で……。
子供の社会と大人の社会の違いを思い出しました。
親の噂って田舎だとすぐに広まるんですよね
どこどこのお母さんは仕事は何をやってて~みたいな。
友達の母親に空き巣に入られた主人公、
泣いて誤ってきた友達の律子、
心に蟠りを抱いたまま高校になった彼女たちは再開するが
友達は思った以上にしたたかに生きてて……。
自分が優位だと思っていた相手に
存在すら認識されていなかったという
なんとも嫌な話。
②石蕗南地区の放火
自分が嫌悪感を抱き、心底哀れに思っていた男からすらも
相手にされていなかったといううわあああ/(^o^)\な話。
人って自分より下の誰かを無意識に馬鹿にして
自分を保っている部分があると思うのですが
それを壊されるっていうのはほんと嫌ですね。
あーうまく言えずにもやもやする!ほんと嫌な話。
③美弥谷団地の逃亡者
これは時系列を逆にたどる少々トリッキーなお話。
主人公の美衣とその彼氏と思われる男が
海へ遊びに行っている。
でもなんだかおかしい。彼が会計に出したカードは
彼女の母親のサインが必要で……。
オチが分かってから読み返してみると、
美衣の彼の前での言動が少し違って見えてきます。
④芹葉大学の夢と殺人
冒頭で主人公が死んでしまったニュースが伝えられます。
犯人と見られているのは彼女のかつての恋人。
この恋人がねぇwww瑕疵の一つもない夢見る夢子ちゃんww
だいたい普通の人が高校・大学あたりで諦める
100%理想の人生を未だに信じちゃってる痛い人w
そんな彼の心の隙間にどうしても入りたい主人公は……。
書き方によっては彼女の死をもっとドラマチックに出来たのだと思いますが
あえて淡白な余韻にし、ほかの作品との調和を
とっている気がしました。
⑤君本家の誘拐
作者さんは子育て経験者?っていうくらい
子供を望み、産み育てる女性の心理描写が上手い。
そして決定的な言葉はないが
じわじわと妻を追い詰めていく夫。
最後はほっとしましたが、イマイチ印象に薄かったです。
以上5篇でした。
読んでみて、とても上手だし引き込まれるんだけれども
リアリティがある分不幸にフィクション的なカタルシスがなく
いや~な気持ちがずっと尾を引いて残ります。
こういうの平気な人は多分面白いのだと思いますが、
私は凹んでしまってちょっとダメでした。
彼女のほかの作品はまた作風が違うらしいので
チャレンジしてみようと思います。