- 青に捧げる悪夢 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
- ¥820
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皆さんこんばんはー(*´∀`*)
関西地方の方、台風の方は大丈夫ですか?
台風ってどうして日本を舐めるように曲がるのでしょうね。
確かコリオリ力がどうのとか習った覚えがあるけど
ちゃんと説明できないダメな大人です(^p^)
さて、外で元気に遊べない日は、
部屋でミステリーでも読みましょう。
本日ご紹介するのはアンソロジー『青に捧げる悪夢』です。
先日ご紹介した『赤に捧げる殺意』の姉妹本?
みたいなものですね。
これらは全て、角川スニーカー文庫から出ている
ホラーおよびミステリーアンソロジーから
何作か選んで掲載されているようです。
もっと読みたいという貪欲な方のために
以下まとめ。
■ミステリ・アンソロジー
①『名探偵は、ここにいる』
②『殺人鬼の放課後』
③『密室レシピ』
④『殺意の時間割』
⑤『血文字パズル』
■ホラー・アンソロジー
①『悪夢制御装置』
ほとんどが赤と青に入っていますが、
何作かはオリジナルじゃないと読めないっぽいですね。
気になる方はチェックチェックですぞ!
以下、ネタバレ感想
①水晶の夜、翡翠の朝 恩田陸
恩田さんは何作か読んだことがあって、
少年や女性など弱い人間の心理描写がお得意なイメージ。
しかし、本作は少年は美しい偶像ではなく、
生々しい悪意に満ちていました。
全寮制の学校に通うヨハンとジェイ。
近頃この学校では『笑いカワセミ』という歌になぞらえた
悪質な悪戯が頻発して起こっていた。
ストローの袋で作られた笑いカワセミにいったいなんの意味があるのか?
まさかこんなブラックな終わり方だと思っていなかったので
びっくりしました。ヨハン黒いよヨハン。
②みたびのサマータイム 若竹七海
浜辺の岩から滑り落ちそうになるところを剣野に助けられた渚。
実は彼の姉と、渚の兄には深い関係があって……。
所々に緩和させてくれるユーモアが散りばめてあり、
柔らかな印象の怪奇譚に仕上がっています。きれい。
③水仙の季節 近藤史恵
作者紹介に「歪みや不安を持ちながら暮らしている人間たちの危うい
心の動きを、するりと織り込む」と書かれてありますが、
まさに巧みな心理描写が持ち味です。
双子の姉妹モデルのマネージャーが殺された。
双子が疑われたが、彼女たちにはそれぞれアリバイがあった。
しかし、カメラマンの木下は彼女たちの顔の赤いじんましんと
水仙の花からそれがアリバイトリックであることを見抜く。
可愛くて、儚げだった少女たちが
強かで、ずる賢い存在に変わってしまう描写がいいです。
④攫われて 小林泰三
小林さんキタ━(゚∀゚)━!
実は小林さん目当てで借りてたんですよね、これ。
しかしこの作品は『臓物大展覧会』に収録されていますので
小林さんファンの方は、そちらをどうぞ!
幼い頃に攫われたことがある、と話す恵美。
恵美、馨、幸子の三人は学校の帰りに誘拐された。
殺された幸子の遺体を利用して、
男を出し抜こうとした恵美。
ここの駆け引きと緊張感がいいですね。
結局話し手の男の子は誰だったのか。
馨は明確に死んでいる描写がないから、
馨なのかな。
⑤階段 乙一
乙一さんはやはりお上手。
短編ではその切れ味がさらに増しますね。
父親の虐待のせいで心理的に階段を降りられない妹。
その虐待は日増しに強くなり、
ある日妹は父親を階段から突き飛ばしてしまう。
そして父親は子供たちを守ろうとした
母親に刺殺されて、母親は自殺。
これだけの特に驚きポイントはないお話なんですが、
描写がまあああああ上手い。
父親を恐れて声を殺す姉妹、押入れの中の熱気と緊張
ページをめくるのが苦痛になるほどお上手です。
⑥ふたり遊び 篠田真由美
どこかの貴族の娘っぽいジェルソミーナ、
しかしそれは古びた洋館に逃げてきた、
ただの日本の女の子。
雰囲気いいです。
でもごめんなさい、私篠田さん合わないかも……。
⑦還って来た少女 新津きよみ
初めて読みますが、いいミステリーです。
怪奇が理路整然と説明される、まさに王道。
安心して読ませますね。
とある女教師が過去に犯した罪。
それは自分の恋人に好意を寄せる女生徒、木元春美を
(故意ではないにしろ)殺してしまったこと。
そんな彼女の前に瓜二つの女生徒が現れた。
しかし彼女たちは学年が違う、苗字ももちろん違うし
双子ではないはずだ。いったいどういうことか?
4月1日まで早生まれカウントなんですよね。
私は早生まれなので薄々気付いちゃいました。
さりげなく、春美という名前(春に生まれた)や
牡羊座(3月と4月の星座)でヒントが書かれていますね。
⑧闇の羽音 岡本賢一
まさかの蜂ホラー。寄生蜂ってほんとにいるの?
怖くてぐぐることすらできませんけどね\(^ω^)/
蜂視点が読めるのが面白い。
異世界からきたのかなこの蜂は。
⑨ラベンダー・サマー 瀬川ことび
自主制作映画に突然出演してもらうことになった
美しい少女は、カメラ越しに見ると既に死人だった……。
夏のノスタルジックな思い出と、
それをぶち壊すコメディタッチのゾンビが
絶妙に混ざった怪作です。
⑩天狗と宿題、幼なじみ はやみねかおる
はやみねさんのお名前は青い鳥文庫でよく見ます。
大人が読んでも面白い子供向けミステリ作家で有名ですね。
今回は、コの字型の肝試しの通路で
先に出た人より先に目的地につく方法を考えます。
春菜と快人のキャラと掛け合いが面白いですね。
しかし竹馬で溝をわたるってすごいなぁ。
以上の10編でした。アンソロ的にはそこそこって感じでした。
面白い!っていうのもありましたが、「ふーん(´ー`)」
で終わってしまったものもあったので……。
お気に入りの作家さんがおられるなら、読んでおいて損はないです。