赤に捧げる殺意/角川書店
¥1,575
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皆さんこんばんはー(*´∀`*)
 
今日は台風が近づいていたようですが、
皆さんのところは雨大丈夫でしたでしょうか。
私はせっかくの休日なのに
ひとつは予定がうまくいかずにイライラし、
もうひとつの予定は流れてしまうという
最悪の土曜日を過ごすハメになりました。
こんな時はミステリーを読むに限ります。
 
本日ご紹介するのはアンソロジー『赤に捧げる殺意』。
有名作家さんたちの豪華共演!!
姉妹本として『青に捧げる悪夢』もございます。
こちらも近日中に読む予定。
収録作家さん達の中で読んだことがなかったのが
太田忠司さん(新宿少年探偵団の人なんですね!)
霞流一さん(バカミスの人なんですね!)
鯨統一郎さん(今回の作品で好きになりました!)
でした。
アンソロは知らない作家さんの本もたくさん読めて
楽しいですねー(*´ω`*)
 
以下ネタバレ感想です。
 
①砕けた叫び 有栖川有栖
 
火村先生ものを久しぶりに読んだ気がします。
お久しぶりです先生(`・ω・´)
今回はダイイングメッセージもの。
被害者が死ぬ間際に割ったムンクの叫びの像。
これは容疑者の誰を指し示しているのか。
 
被害者が示したそのものがメッセージではなくて
残された物がメッセージになっているというお話。
しかし、『叫び』を使って見ざる言わざる聞かざるとは……。
 
メルカトル先生なら「これは可能性を示唆しているに過ぎない」
とかなんとか言いそうな話ですが、
そこは火村先生もちゃんとわかっていて、
実際に犯人が捕まったからいいじゃーんみたいな終わり方です。
もちろん面白いんですが、ちょっと言い訳じみててもにょもにょ。
火アリシリーズ好きすぎるから辛口www
 
②トロイの密室 折原一
 
黒星警部のスピンオフ?密室モノです。
成り上がりの土呂井竜蔵の家に届いた脅迫状。
それは彼の屋敷の前の所有者のものでした。
犯行予告日、屋敷には黒い棺桶が運ばれ、
さらに、その屋敷の呪われた部屋に宿泊したゲストが
心臓発作で死んでしまいます。
 
そしてその棺桶の中には前の所有者が入っており、
主人の部屋では竜蔵が心臓発作でなくなっていまいた。
 
トリックは可動式の壁を移動させて、
閉所恐怖症のゲストを殺すが、
その時の運動が心臓に来て竜蔵も死んじゃった
というものでした。
 
うーん……面白いのだけど……あんまりだったかな。
 
③神影荘奇談 太田忠司
 
一人の青年がぶらりと寄った田舎の村で、
異形の者たちが暮らす洋館に迷い込み
そこで殺人事件を目撃するも、
それは夢だったのかどうなのか……?
という少し怪奇テイストが入ったお話。
 
最近本格を離れて怪奇モノを読んでいたせいなのか
なんだかこういう展開のほうが落ち着くwww
 
実際は映画のロケでした。というオチですね。
トリック自体は目新しいものじゃないのだと思いますが、
見せ方や短編としてのまとめ方が綺麗で好きです。
 
④命の恩人 赤川次郎
 
ミステリーというよりはサスペンス風味?
愛娘の愛を電車の事故から救ってくれた下山浩二は
大企業の専務だった!!!
お礼に向かった久美子は、そこで彼に
一日だけ恋人のふりをしてもらえないかと頼まれる。
 
架空の女性、しのぶになりきった久美子が呼ばれたパーティで
発表された前社長の遺言状は浩二を社長にするというもの。
しかし、その遺言状が書かれたとき、
浩二は愛を助けてくれていたはず……。
 
安心の筆力で、最後まで安心して読ませてくれます。
 
⑤時計じかけの小鳥 西澤保彦
 
西澤さんって本当に作品の幅が広いですよね。
今回は母子家庭で育った奈々が、
小学校時代に彼女を無視して繰り広げられた
とある事件について、一冊の本から推理してしまうお話。
 
普通の本屋で買ったハズの本。
自分の母親が書いたサインがあり、
それを本屋に売れというメモが挟まっていました。
 
友達の家でただ学校をサボっていたと
思い込んで生きてきた奈々。
しかしその裏では同級生が彼女の母親を利用して
(予想外のこととは言え)ひとりの男を殺していたのです。
 
鳥かごの外の世界を知った彼女は
強かな大人へとなってしまうのでした。
 
⑥タワーに死す 霞流一
 
特撮用の3mの東京タワーに突き刺さっていた監督の死体。
しかし周囲に広がっていたセットの砂には
ひとつの足跡もついていなかった。
開かれた密室ものです。
 
繰り返される冬の描写と、犯人のうかつな一言がポイント。
こういう物理トリック?は解けていく様が
映像でバーっと見えるので読んでいて楽しいですね。
映像化キボンヌ。
 
⑦Aは安楽椅子のA 鯨統一郎
 
今回のお話ではこれが一番好きかなー。
トリック云々はそんなに物珍しいわけじゃないですが、
キャラクターも、ものがしゃべるという突飛な設定も、
うまくまとまるほっこりしたラストも。
たまにこういうの読まないと心が荒みますからね_(:3 」∠)_
 
父親の保険金をかけ直してすぐに、彼が首なし死体で発見された。
娘は愛人と浮気をしている母を疑うが、
証拠は何もない。
 
事件を追う堀アリスは聴覚を失う代わりに
物の声が聞こえるようになった変わった探偵。
自宅の安楽椅子の声(!)に耳を傾けて、
死んだ父親に脳梗塞の疑いが会ったこと、
そして母親の愛人が医者をしていることに気づきます。
 
聞こえない電話の解決が心温まります。
 
⑧氷山の一角 麻耶雄嵩
 
メルカトルさんキタ━(゚∀゚)━!
今回は美袋さんに捜査を全部任せて
ひたすら自堕落にコーラとか飲んじゃってますw
 
どうでもいいけど被害者の名前が灘儀で
所属してる事務所がスミス企画って
思いっきりスミス夫人から来てるwww
第一発見者さん松村さんだしwww
プラン9好きの管理人はニヤニヤしていました。
 
こちらもダイイングメッセージもの。
血文字で描かれた4つの十字が指し示すものとは。
 
暗がりで名前を書いたからっていう押しだけでは弱いので
メルカトルは美袋くんをいつもの如く利用しますwww
ひどいわwwwやっぱり美袋さん不憫だわwww
 
以上の8篇でした。
名アンソロ!!と声高にいう出来ではないと思いますが、
それぞれの作家さんのファンなら買って損はないですし、
新しい作家さんも読むことができて満足しました。