- 脳髄工場 (角川ホラー文庫)/角川書店
- ¥620
- Amazon.co.jp
みなさんこんばんはー(*´ω`*)
ランチにテイクアウトにすると安いカレーを買った管理人。
しかしキャンペーンが終わっていて普通の値段でした。
130円損した……_(:3 」∠)_
今の時期の夕方、日が落ちてあたりがまだぼんやりと薄明るい時間。
とても気持ちいい風が吹きますね。
緑の匂いも濃くなって、いよいよ生き物が動き出す季節です。
そう、私の天敵のGもね((((;゚Д゚))))
さて、本日ご紹介するのは小林泰三さん『脳髄工場』です。
小林さん~やっと読めたー!!!(((o(*゚▽゚*)o)))
近くの図書館に置いてなくて読めなかった本を
やっと入手しました。
ぐはー!また一つ楽しみが減った(゜´Д`゜)
けど面白かった!やっぱり小林さんは私を裏切らない!!
いろんな文芸誌に掲載していた短編を
ひとつの短編にまとめた短編集です。
読みながら「あ~小林さんらしいなー好き!好き!」
と一人で悶絶しておりました。
もう小林さん好きすぎるから評価が甘い甘いwww
いつも☆いくつとか偉そうにつけてますけど、
面白かった星の数じゃなくて好き度ですから!
以下ネタバレ感想
①脳髄工場
感情のコントロールがうまくできない人間が犯罪を犯す、
それは生まれつきの遺伝子や、環境のせいであって
本人には何ら原因はない。
ならば人工脳髄で脳を意図的に落ち着かせ、
争いのない世界にしようじゃまいか。というお話。
序盤は予想通り、人工脳髄VS天然脳髄のお話になります。
天然がいいのか?人工にするデメリットは?意味は?
少年は自由意思を頑なに主張し、そのせいで人工脳髄を持つ
想いの人に逃げられてしまいます。
そしてヤケになった少年は自分も人工脳髄にする決心をしました。
しかしそこで知らされたのは人工脳髄は人の自由意思を奪い、
思いのままに操っているという事実。
そして更に衝撃だったのは、人には自由意思など存在しないという話。
すべての脳は予測可能な電気信号の積み重ねである。
そして少年は精工なプログラムによって計算された自分の未来を見てしまいます。
その話通りに大人になり、毎日砂を噛むような生活を送る少年。
すべてが終わる優しい時を夢見て。
自由意思が存在するのかどうか、今自分が判断し決定していることは
確かに自分の意志だけれど、その根拠は過去の経験によるもの。
そしてその過去の経験はさらに過去の出来事によっていて……。
そう考えると自分の意思など存在せず、
ただ決められたプログラムの通りに生きている気になります。
②友達
これはびっくりしたwひねりがあって好きw
イマジナリーフレンド小説に敏感に反応する管理人。
意気地がない自分に嫌気がさして理想の自分「ドッペル」を作る主人公。
しかしそのもう人の自分が暴走し、一人歩きを初めて……。
主人公が止めるのも聞かず、彼の好きな女の子を横取りするドッペル。
そこで彼が使った切り札とは!?
女の子さえも脳内彼女だったとかwww
どんだけネクラだ主人公www
これは予想できなかった。すごい。
③停留所まで
うっかり乗ってしまうと連れ去られるというバス。
そのバスについて噂をしている二人の少年が言うには、
降りるときにそのバスに乗った少年を振り返ってはいけないそうな。
そしてまた一人、男が罠にかかる。
世にも奇妙な物語でやってくれww
④同窓会
仲間のうちであいつだけが死んだと思っていたら
実はあいつだけ生き残ってて自分たちが死んでたパターン。
よくあるけど、見せ方がうまいなぁと思う。
⑤影の国
ビデオテープを再生して過去の忘れた記憶を取り戻していく、
宮部さんの「取り残されて」に少し似てますね。
自分が受け持ったカウンセリングのビデオを見てみると、
そこに写っているのは影の王と宣う奇妙な男。
男はある日影があちらの世界に自分を呼ぶようになったと言い出して……。
徐々に曖昧になっていく記憶を必死につなぎとめる文章が
夢日記を書いている時みたいにふわふわしていくのが「あー、わかる!」ってなった。
⑥声
過去の過ちを未来の自分が変えることが出来たら。
過ちを伝えた自分はどうなってしまうのか?
親殺しのパラドクスのお話。
事実に気づいて、テレビに富豪になった自分が映ったのを見届け
消滅してしまう展開と描写がいいですね。
文章が途中で途切れてるの。井上雅彦さんも何かでやってたけれど
こういうお遊び好きなんです。
⑥C市
一番小林さんっぽい。これは小林さんにしかかけない。
迫り来る『C』と呼ばれる驚異に対し、
科学者が作り出した己の意思で成長し続ける生命体。
それはいつしか人類を凌駕し、驚異となって……。
圧倒的な情報量とユーモア。小林節炸裂。
⑦アルデバランから来た男
アルデバラン星では人口増加に伴い、人間をバックアップ
つまりデータ化し、本体をデリートするようになった。
その男が星を脱出しのがれた星は地球だった。
そこで彼が警護をお願いしたのは……。
ワロタwww小林さんの会話の掛け合いはほんとに笑えるww
でもそれすらもバックアップ計画のうちというオチ。
⑧綺麗な子
少子化へ警鐘を鳴らしているなんていう批評めいたことは言わないですが、
ほんとにその通りだと思う。
本物そっくりのペットロボットが出て、
自分の好きな仕草ばかりしてくれたら
吠えるし、噛むし、臭いし、言うこと一個も聞かない犬なんて
買いたくなくなりますよね。
同じように子供も……。
中絶の話も、女性としてどこか納得してしまう部分があったり。
デキ婚で子供捨てて逃げちゃう女の人ってこんな感じなのかなぁ。
でもね、ほんと子育てって大変だと思うし……。
産まない、という選択もあっていいと思うよ(゜´Д`゜)
⑨写真
これはオチ読めちゃったので……。
小林さんの書く怪しげな少女っていいよね。
⑩タルトはいかが?
小林さんちょいちょい吸血鬼っぽいお話書くよね。
義弟と妹?と思われる近況を描いた手紙が姉のもとに届く。
最初は幸せな結婚報告かと思いきや、
徐々にその手紙は狂気を帯びてきて
妹の奇妙な体質「血をお菓子に混ぜて食べないと死ぬ」
という事実が浮かび上がってくる。
だんだんと「あれ?あれれ?だめだろwww」とツッコミを入れたくなる。
いやー(*´ω`*)好き。小林さん好き!!
仕事ほどほどにして新作を書いておくれよー!!!
小林分(糖分みたいなもの)が減って力が出ないよー!