- スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)/早川書房
- ¥756
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みなさんこんにちはー(*´∀`*)
今日から6月ですね。6月は祝日が一日もなく
じめじめとしてみんなに嫌われる月ですが、
ジューンブライドなんてこともいいますし
きっと幸せはあちこちに落ちているはず。
本でも読みながらゆっくりと探していきましょう。
さて、本日はこれまたSFです
カート・ヴォネガット・Jr『スローターハウス5』です。
ま、待って(;゚Д゚)ノ翻訳SFから逃げないでー!
管理人もね……ハヤカワの青い表紙のSFね……
面白い面白いと言われていつかは読みたいと思っているんですが
なんか難しそうで手が出ないんですよ。
一緒ですよ!読書優良児じゃない皆様!
最初親切な方からこれを紹介されたときは
「え?これシリーズもの?1,2,3,4はあるの?(*´∀`*)」
とバカな質問をした管理人です。
大丈夫です。これは『スローターハウス5』という一冊の本です。
読書好きの方なら、読書家の太田光さんが
『タイタンの妖女』という本をかなり推しているのを
ご存知なのではないでしょうか。
私もラジオで彼がものすごい影響を受けたと言っているのを聞いて
手にとって読んだんです。
面白かったです。「なぜ人は生きているのか?」という根本の問題に
ひとつの驚くべき答えを提示してくれています。
この本は、そのスピンオフ?的な本でもあります。
以下ネタバレ
さて、本書『スローターハウス5』なのですが
主人公のビリー・ピルグリムはトラルファマドール星人に連れ去られてから
自分の人生を四次元的に生き続ける人生を送ることになります。
四次元的に人生を見るってどういうこと?と私も最初思いましたが
この星人たちは私たちの生まれてから死ぬまでの時間を一気に見ることができる
つまり、私たちの先っぽは生まれたばかりの赤子の形をしていて
もう端っこは絶命間際の老人の形をしているのだということです。
ここの説明が私は非常にわかりやすくて「あー!」と目から鱗でした。
だからこそ、私たちは常に生きていて、常に死んでいる
私は少女であり、老婆であるという人生の捉え方とても斬新で
衝撃を受けました。
こんな感じで人生を捉えるようになった主人公は
自分の人生の様々な場面を行ったり来たりするようになります。
星人に捉えられて女優と見世物になる場面、
ブサイクな嫁さんを迎え入れる場面、
そしてドレスデン無差別攻撃を受けた場面。
ビリーはめまぐるしく時を駆け続けます。
これは少し小林泰三さんの酔歩する男を思わせました。
もちろんテイストも現象も全く違うんですが。
その中で主人公は何度も何度もドレスデンに行き、
理不尽な場面を見せつけられ、
そして「そういうものだ」と受け入れ続けます。
解説によるとヴォネガットは当時の心境をこんな形でしか
表すことができなかったんじゃないかということです。
筋らしい筋はなくて、かといってキャラクターに重きがあるわけでもないのですが
読み始めると何故か止まらない中毒性があります。
読み終わった人ひとりひとりに何か気にかかることを
そっと残していく作品だと思います。