- さがしもの (新潮文庫)/新潮社
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皆さんこんばんはー(*´∀`*)
試験勉強をしていたせいで図書館に行けておらず
今週読む本が枯渇してきている管理人です。
仕方なく、家にあるけど積ん読していた
所謂2軍本および非常食を食べて飢えをしのいでいます。
昨日は心の痛みを伴うような題材だったので
今日はサラっと読めるものを。
ということで本日一作目は
角田光代さん『さがしもの』です。
角田さんは幼少の頃から読書家だったらしく、
これはそんな愛する本と人との関係を描いた
読書好きのための短編集となっています。
読んでいくうちに……あれ?先の展開が読めるなぁ
あんまりラストに驚かないなぁ……
と思っていたら
<<一度読んでましたこの本>>
読んだことすら忘れてるとかどれだけ\(^ω^)/
なので感想はさらっと書いておきます。
以下ネタバレ
①旅する本
これは自分が手放した本に何度も何度も出会うお話。
読むたびに本の目につくところが違う。うん、それよくわかる。
図らずも今回この本を再読しましたが、
前回はこの箇所で同意なんかしなかったし。
②だれか
古本屋に断腸の思いで本を売る時、
この本を次に読む人はどんな人かなと思うときありますよね。
同じように、古本屋で買った本を読むとき
前に読んだ人はどんな状況でこれを読んで、
どんな感想を持ったろう。と思うことがあります。
ページが折れていたりしたらガサツなのかな?とか
発売してすぐの新刊が古本になっていたら
この作家さんのファンだったのかな?とか。
そんな本の向こう側の景色を楽しむのもなかなか面白いです。
③手紙
見知らぬ誰かが詩集に挟んだ手紙。
実は詩集って苦手だったんです。
どうも人の最大公約数orキワドイとこ狙ってます。
みたいな作り手の顔が見え隠れしてしまうから。
「人間だもの」って言われると
大半の人は「あーそうだよね!」って思ってしまう。
そんなウケ狙いみたいな「共感せよ」の文章の羅列なんて
いらない。と思っていました。
今はそんなことないんですけど。
ある経験をきっかけに、
不特定多数に向けられているように見えて敬遠してきた言葉が
ふっと自分のための言葉のように聞こえる瞬間って
とても得難くて貴重な体験だと思います。
④彼と私の本棚
本の趣味が合う人のことはやはり好きになってしまいます。
同じようにして読んだ本の感想を言い合うのはとても楽しい。
失った時に本当に心に穴があくのもわかります。
しかし、それは失ったのではなく、
大切な思い出としてまだそこにある……。
私はこれはちょっとわからなかった……。
失ってしまった楽しい思い出って辛いだけだもの。
⑤不幸の種
持っていると不幸を引き寄せる本を、
元彼を奪った友達に彼に渡してと託す。
しかしその友達も利己的な思いからそれを渡せず不幸になり……。
波乱万丈か、平坦か、どちらが不幸なんでしょうね。
二人のつかず離れずの関係性が心地いいです。
大人の女って感じします。
⑥引き出しの奥
これが一番好きかな。
自覚のないビッチ女が手に入れるたった一瞬の残したい光景。
二人で街を駆けていく描写が爽やかで(・∀・)イイ!
サカイテツヤの肩越しにどんどん近づく見慣れた光景に、
その一瞬の美しさに、わたしははっと息をのむ。
素敵な描写ですねー(*´ω`*)
⑦ミツザワ書店
本を開けばそこはもう別世界。
なかなかそこまでのめり込める本には出会えませんが、
その気持ちはわかる気がします。
自分の心の中にある『本屋』もまさにこんな印象。
たまに実家の近くの本屋に行くと、
自分はここでいろんな世界を手に入れたんだなーと思います。
売上度外視の貸本屋さんって素敵( ´∀`)
⑧さがしもの
死んだ祖母のために必死で本を探した主人公は
人のために本を探すブックコンシェルジュになりました。
こういう職業の人本当にいてくれると嬉しい。
⑨初バレンタイン
まだうぶな頃の恋愛の思い出って
後になってもずしりと響くものなんですよね。
でも好きな人が自分の好きな本を読んでいたら
やっぱりなんだか運命的なモノを感じちゃうなぁ。
以上でした。
やっぱり本好きな人のお話は読んでいて楽しい。
気づかないうちに抱えていた痛みにはっと思い至る
そんな経験ができる本でした。