- 謎の物語 (ちくまプリマーブックス)/筑摩書房
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私事ですが、深夜ラジオが大好きでして、
ラジオ界の帝王伊集院光さんの『深夜の馬鹿力』も
もちろん聞いている管理人です。
そんな管理人、今日仕事場で「『深夜の馬鹿力』知ってる?」
と上司に言われてしまったんです(;゚Д゚)!
知らない方に申し上げておきますと、
この番組8割が下ネタ、あとの2割が自虐ネタ。
だから淑女が「あの番組いいっすよねー!」と
乗ってしまってはいけないわけです……。
本当はラジオのお話したかったけれど、
「へ、へー面白そうですね」と流す弱い私なのでした…。
さて、本日ご紹介するのは紀田順一郎さん編『謎の物語』です。
こちら以前ご紹介した文庫版ではなく、
ちくまプリマーブックス版でございます。
収録内容が大幅に違いますので、
興味のある方はご注意を(`・ω・´)!
本日は、文庫版に収録されていない作品を
いくつかご紹介。
以下ネタバレです
①なにかが起こった D・プッツァーティ
電車に乗って北に向かっている主人公。
しかし、窓外の人たちは大慌てて南へ避難していきます。
そのことに気づいているのに、
恐ろしい事実から必死に目をそらし、
平常心を装う乗客の描写が素晴らしい。
一体電車の行き先では何が起こっているのか?
物語は電車が閑散とした駅に到着し、
女性のけたたましい悲鳴が聞こえたところでぷつりと途絶えます。
綾辻さん&有栖川さんがこの物語を考察してらっしゃるようです。
有栖川さんは電車そのものになにか仕掛けがあるのでは?
と考えていたのだそう。
今調べたら『ミステリジョッキー』での会話なのか!
これ面白そうだな、今度読もう。
②新月 木々高太郎
「大人の世界に分けいるためのひとつの試練の物語」と
編者に言わしめる本作はミステリー調の作品。
富豪の老人は若い後妻を取る。
二人は愛し合っているように見えたが、
突然の妻の事故死にその兄と父は不信を抱く。
調査を依頼された主人公は二人の足跡を追うが、
そこに殺意は認められられなかった。
しかし、その後富豪の息子の乳母だった女の一言により、
主人公は富豪の殺意を初めて疑うようになる…。
乳母は息子を戦争で亡くし「これで安心しました」と富豪に言ったのであるが…。
これがわかれば大人ってことなんですかねぇ。
ああ!これいろんな人に意見を聞いて回りたい!
私は「自分が心のそこから信頼している人が
自分の思わぬところで何かよからぬことをしでかす前に
その死を見届けられたなら安心するのではないか…?」
と思いましたが、どうなんでしょう。
心から愛し、また愛されていると確信している奥さん。
その奥さんが死ねば、自分はその気持ちを安心して信じられる
というお話かしら…わからーぬ!
③青頭巾 上田秋成
全国行脚中のお坊さんが、ふと立ち寄った村。
その村でずいぶん無礼な扱いを受けて訳を尋ねると、
その村の坊主はとある少年を不慮の病気で死なせて依頼
死肉を喰らう鬼になってしまったから恐れているのだとか。
彼に会って永嘉大師の区を授けたお坊さん。
一年後に再会したとき、鬼はその句をつぶやくと
骨ばかりになって消えてしまった……。
これは雨月物語の一部だそうで、
他のお話とも関連が少しばかりあるようです。
これは何が謎なのかすら私には理解が……(゜´Д`゜)
ファンタジーとして読んでしまった……。
④チョコレット 稲垣足穂
でた!足穂さん!
クラフト・エヴィング商会さん経由で大好きです。
夜明けの街でロビン・グッドフェロウに出会った少年ポンピイ。
ロビン・グッドフェロウはイギリスの妖精らしいです。
『真夏の夜の夢』のパックのようなものらしいですね。
グッドフェロウの話によると、最近は妖精とかやってても
誰も相手にしてくれないからほうき星になったよーんとのこと。
にわかには信じられないポンピイは
「その不思議な力でチョコレートの中入ってみろよ!ヽ(`Д´)ノ」
と無理難題をふっかけます。
お安い御用だとチョコに入ったいたずら妖精ですが
今度は出てこなくなってしまいました。
鋼鉄かよと思うほど硬くなったチョコレートは
ちょっとやそっとでは割れそうになく、
ポンピイは仕方なく鍛冶屋でチョコを割ってもらいます。
するとチョコは大爆発!!空へと何かが昇っていった。
チョコに入ったのはロビン・グッドフェロウだったのか?
それともほうき星だったのか?という謎。
足穂さんはほうき星とかチョコとかとにかく
言葉とモノの使い方がシャレオツですよね!
⑤おもちゃ H・ジェイコブズ
荒俣宏さん訳ー(*゚∀゚*)……さーせんそれだけです。
ふらりと寄った骨董品屋には
自分の思い出の品ばかりが並べてあった!
小さい頃大事にしていたバスのおもちゃ、
ランプ、ソリ、野球のグローブ…
堰を切って溢れ出す思い出。
しかし、購入していいのは1つだけ…一体何を選ぶ?
焦燥を感じるノスタルジックな雰囲気が◎
唐突に蘇る過去と骨董品屋、
そしてそれらが無残にも散り散りになってしまう近い未来。
引き裂かれそうな心の動きが切ない(゜´Д`゜)
以上が未読でした。
いやー、リドルストーリーっていいですね(*´∀`*)
謎がきちんと解かれるミステリーも好きだけど、
魅力的な謎そのものを味わうのもまた一興です。