こちら幻想探偵社 (ソノラマ文庫ネクスト)/朝日ソノラマ
¥560
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みなさんこんばんは~(*´ω`*)
 
今日は暑かったですね!
公立の小学校の卒業式は今日らしいですね。
自分は小学校の隣に中学校があったので、
卒業するという実感がありませんでしたが、
中学で友達と別れてしまうという方も
珍しくないのでしょうね。
学生時代の友人は本当に貴重なので、
学生の方は大切にしてくださいませ。
 
さて、本日は清水義範さん『こちら幻想探偵社』です。
似非SFミステリーと銘打ってあるように、
ミステリー(怪奇)とSFに満ちたミステリー(推理小説)です。
西澤保彦さんがチョーモンインシリーズで
影響を受けたとおっしゃっていたので拝読。
 
西澤さんのようにSFとミステリーが混在していますが
本格というわけではありません。
しかし、ある種のトンデモオチが用意してあり、
「ふざけんなこら!謎解けへんやんけ!ヽ(`Д´)ノ」
ということはありません。
事件は(一応)解決しますので、
ラストのカタルシスはきちんと味わえます。
ただその解決手法が現実にはありえない方法だったってだけで…。
 
登場人物は
「幻想探偵社」の所長であり、トンデモ推理の達人、真下。
スタントで鍛えた体が売りの常識人、乾三四郎。
露出癖のある天然アシスタント、矢田知代。
この3人。キャラが立っていてまぁ面白いw
 
以下ネタバレ
 
①助けた少女はプリンセス
 
就職に失敗し、特撮スタントのアルバイトで食いつなぐ乾三四郎。
その撮影中にあろうことか本物のプリンセスを助けてしまいます。
しかもそのプリンセスは高度な科学技術を持った
超美人な(地球人にそっくり)異星人だったのです。
 
三四郎成り行き上彼女を養うことになってしまい、
断り続けていた「幻想探偵社」の仕事を引き受けます。
かくして、おかしなトリオが活躍する探偵社が発足したのでした。
しかもその探偵社は知代が放ったフェロモンのせいで
おかしな事件を抱えた依頼人ばかりがやってくるようになってしまいました。
 
②幽霊屋敷の時間の渦
 
これはちょっと理論が理解できなかった…。
毎週金曜日に出現する幽霊は、
実は未来の世界でときの渦の中に囚われた物理学者だった
というお話なのですが…。
渦の向きと、時の流れの向きが揃ったときだけ
姿を現すことができるらしい。
でも彼は時間のある一点にしかいないわけだから
何度も出現するのって無理じゃない?
一周して現れるのって同じ時間のはずじゃない?
彼の周りは時間が流れていないんだから…。
 
彼が川の渦のようにひとつところにとどまるから、
川上(過去)にさかのぼって出現するというところが
わかったようでわからん/(^o^)\
 
真下さんのトンデモ推理がちょっと面白かったりする。
 
③パラドックスの逆襲
 
ある日、ひとりの男に突然自分を守ってほしいと依頼された探偵社。
最初は相手にしなかった三四郎だが、
本人の言葉通り、彼は飲酒運転の車にひかれそうになり、
建設現場の事故に巻き込まれそうになり、
殺人未遂犯に襲われそうになります。
 
彼は実は未来予知の能力を持ったエスパー。
しかし、未来を予知するということは同時に未来を変えることであり、
そこで生じたパラドックスのせいで、
自分が消されそうになったという話でした。
なかなかにぞっとするお話。
 
④アリバイ崩しにご用心
 
これは推理小説的な面白さとアッと驚く犯人の能力が面白い作品。
殺人の容疑をかけられた俳優、しかし彼には完璧なアリバイがあった。
彼には双子の兄弟がいたのか?
はたまた誰かが整形でもして彼に成り代わったのか?
話のキモは「いかにして同一人物を二人出現させるのか?」です。
 
が、ここはSFミステリー。
彼には人に偽りの記憶を植え付ける特殊能力()があったのでした。
「おいおいwwそんなオチありかよヽ(`Д´)ノ」と怒るなかれ。
これがなかなか考えられているんですよ。
そんな能力がもしあったとしても、関係者全員に
錯覚させることはできないはず。
でも彼は、事情聴取をした刑事一人に偽りの記憶を植え付ける
という斬新な方法でそれを切り抜けるんですねww
 
以上の4編でした。とても読みやすいし、
作者さんが言っておられたように古い作品なのに古さを感じさせません。
中学校の時にこういうの読んでればSFがもっと好きになったのかな~。