パレード (幻冬舎文庫)/幻冬舎
¥560
Amazon.co.jp

みなさんこんばんは~(*´ω`*)
 
夕方の風がぬるくなってきましたね。
いよいよ春。
どうして人は夏になると冬の寒さを忘れ、
冬になると夏の暑さを忘れてしまうんでしょうね。
夏だって「だるいー」とかいいながら嫌ってるくせに
冬になると夏が恋しくて恋しくてしょうがない。
学ばない生き物ですね。
 
さて、本日ご紹介するのは
吉田修一さん『パレード』です。
2002年の作品ですね、もう11年前か!
これ映画にもなってるんですね!
 
そしてファンの方…すみません。
上記の評価は決して作品の善し悪しではなく、
管理人のただの好みということでご容赦ください…。
 
以下ネタバレ
 
とあるマンションの部屋をルームシェアする4人+1人のお話。
平凡な田舎から来た大学生、杉本良介。
俳優の丸山友彦と交際中の無職、大垣内琴美。
自称イラストレーター、相馬未来。
途中から乱入してきた男娼、小窪サトル。
そして唯一の社会人であり常識人、伊原直輝。
 
この四人が繰り広げるルームシェアの光景は
どこか温度がなく、微妙な距離感を感じます。
他人の生活が目の前にあるのではなく、
まるでパソコンを通して向こう側にあるように
深入りもしなければ、突き放すわけでもない。
登場人物の言葉に「チャットをしている感覚」とあるが、
まさにそんな感じ。
 
物語の8割は、そんな彼らの日常が描かれます。
自分の思いと、他人からの評価が食い違っているところなど
なかなかに興味深いです。
会話自体もどこか演技的というか、
どことなく拭えない違和感があります。
ただ、あまり本筋とは関係がなく、
かつその会話自体にも意味がないものが多いので
私は若干退屈してしまいました…。
 
さて、ラストは常識人である伊原が通り魔だという事実が明かされます。
占い師の言葉のとおり、伊原はこの虚構の空間から
どうにかして足掻きだしたくてそんなことをしてしまったのかもしれません。
しかし、ルームメイトの彼らは伊原の犯した罪をしりつつも
居心地のよい絶妙な関係性を壊すことをおそれ
まるで何事もなかったかのように日常を再開します。
断罪や批判を受けることすらかなわない生殺しの怖さを
表現したかったのでしょうか。
 
申し訳ないけれども私にはあまり理解できませんでした…。
意外な結末というよりは突飛な結末のようで、
余韻に浸らせてくれるような前フリもそんなになく…。
彼らの生活のように上辺だけを通り過ぎていってしまったような
そんな本でした。