- 暗黒童話 (集英社文庫)/集英社
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こんばんは~(*´∀`*)
今日はこちらの地方は雨でして、
自分は非常にお天気に気分が左右されてしまうので
憂鬱な朝を迎えることとなりました。
そんなときはあっさりめのホラーが一番ですよね。
本日ご紹介するのは、
乙一さんの『暗黒童話』。
切な系ホラーに飢えていた私に
親切な方がオススメしてくださいました。
乙一さんは『夏と花火と私の死体』と『GOTH』
くらいしか読んだことがなく、
新鮮な気持ちで読めました。
理系ご出身だからなのか、
文章が平易で一つ一つが短く読みやすいですね。
しかしだからといって味気ないということはなく、
童話のような不思議な世界観があるという…。
( ・∀・) イイネ!これは好みの香りがする。
以下ネタバレ
「臓器の一部を移植すると、その人の記憶が蘇る」
という物語はいろんなところでちょいちょい見る設定です。
今回は事故で左目と記憶を失った女子高生、菜深が
左目から再生される他人の記憶を辿るというストーリー。
自分の本来の姿を思い出せずに現状に疎外感を感じる私は、
いつしか左目の持ち主の和弥の記憶を
自分のものであるかのように愛おしく感じるようになる。
もちろん移植されてるわけですから、
元の瞳の持ち主は死んでいるわけです。
しかもその持ち主は少女の監禁現場を目撃し、
危うく犯人に見つかりそうになって事故死。
この謎を解いていくんですね。
乙一さんは創作の基本は
設定紹介→問題発生→問題展開→問題解決
の流れだ!とおっしゃっていましたが、
これもそういう流れですね。
読者を引き込むテクニックを存分に生かされている感じ。
和弥の故郷に趣いた菜深はそこで、彼の姉に会い
彼の死因となった犯人を突き止め、少女を助けようとします。
このあたりはミステイーを読み慣れている方には
よくある展開かな~と思われる方もいるかもです。
叙述やミスディレクション(?)というのかな、
でいろんな人を疑うように仕向けてます。
生き物を殺さず殺す不思議な力を持った作家、三木=住田。
途中まで京子という老婦人がアヤシイ(`・ω´・)
と思ってたけど関係なかった\(^ω^)/
このマッドサイエンティスト住田と、
奇妙な住人たちの関係性がなんだかぐっとくる。
すべての苦痛から解放され、
暖かな死を与えられたかつて人間だったものたち。
そこにある奇妙な利害関係がなんとも言えずグロ美しい。
本人たちが幸せならそれでいいじゃないか!
事件は解決して、記憶を取り戻す主人公。
記憶を取り戻す前の私はもはや他人のように感じるが、
ひとりの人間としてあなたを忘れることはない。
何この泣けるラスト(゜´Д`゜)
切なホラーだったよ…ホラー読んでこんなにも
清々しいってどういうこったよ。
乙一さんは最近映像の方のお仕事をやられているそうですが、
もっと切なホラー書いてくれよおおお。