漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)/光文社
¥740
Amazon.co.jp
どうも~、今日は節分ですね。如何お過ごしですか。
うちは恵方巻きは食べなかったのですが、
年の数+1の豆をいただきました~。
乾燥した大豆って決して不味いわけではないですが、
連続して口に放り込むと口腔内の水分を
すべて吸収してしまうので注意が必要ですね。
しかも数えながら連続して口に入れていくので
最後の方はもう豆でパンパンのリス状態。
年々しんどくなっていくこと請け合いです:(;゙゚'ω゚'):
 
さて、本日は島田荘司さん『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』です。
これは島田さんにはまった時からずっと読もうと思っていたのですが、
ホームズ作品もろくに読んだことがないしまだ面白みも
わからないだろうな~と思って保留していました。
ホームズ作品をある程度読んだいま、改めてチャレンジ。
さらに、夏目先生との共演ということで
期待値MAXでございます。
 
夏目漱石はホームズの時代にロンドンに留学していたことから
日本人が書いたホームズのパスティーシュにはよく出てくるらしいです。
私は山田風太郎さんの「黄色い下宿人」しか読んだことないですが、
どちらもちょっと精神疾患があったり、
男友達と部屋に同居してたり(確か是公さんとしてたはず)
なんだか共通点がいくつかある気がします。
 
そして本作なんですが、
とある事件をワトソン視点と漱石視点で楽しめるんですね。
それぞれ文体や言い回しも彼らのものを真似て書いてあります。
読んでいるうちに「え、これ島田さんのフィクションだよね、
ホームズと夏目さんが会ってたっていう事実ないよね?」と
半ば本気で疑いかけ、
「やべぇwwホームズそもそも架空の人物じゃねw」と
はっと我に帰るなんてこともありました。
それくらい二人の手記が自然です。
 
さらに、ワトソンと漱石のホームズの描写の違いが笑えるwww
立ち絵ば、ホームズはお家芸人物あて(一目見て名前や境遇を当てる)をやるんですが、
漱石の手記ではことごとく外れてるんですねww
でもワトソンさんの手記では修正されているというww
医者の探偵への愛ぱねぇwww
そのほか二人の記述の違いが事件のヒントにもなってくるので、
ただのギャグだと思っていたら足元を救われます。
 
以下ネタバレ感想。
 
漱石の下宿に幽霊の声が聞こえるようになったことが、
そもそもの事件の発端でした。
 
亡き夫の遺産を受け継いで大きな屋敷に住むメアリー・リンキイは
幼い時に行き別れた弟を探し出して
現在の屋敷で面倒を見ようと思い立ちます。
そして、弟を探し出したまでは良かったのですが、
彼が持ってきた長行李(今で言う衣装ケースのようなもの)
をリンキイが開いてしまったところから
異様なことが起こり始めます。
 
弟はなんでも中国で呪いを受けて帰ってしまったようで、
数日間なにも口にせず、ある日弟の部屋で小火があって
家人が部屋を覗き込むとミイラになって死んでいたんですね!
 
はう~魅力的な謎(*´ω`*)
トリックは、ベッドの上のミイラと、長行李の中の仏像、
そして日本の甲冑の中の人間が入れ替わっただけというものなんですが、
そこに日本という国の西洋からの認識の話が加わって面白いです。
日本は今でも中国の一部と思われているのですね。
oh(´・ω・`)エキゾチックジャパン…。
 
事件を解決したホームズは、頭を強く打って精神疾患から脱出。
みんなの知る紳士ホームズに戻ります。
(もうここはジェレミー・ブレッド再生で脳内が幸せすぎる)
ホムワトと夏目の船での別れのシーンが切なすぎる(´;ω;`)
島田さん本人は「取ってつけたようでわざとらしい」とおっしゃってましたが
いえいえ!もうこれくらいベタで全然いいっす(・∀・)
ホームズに「日本に来ないか?」といった漱石は
親友の子規の死を知り、新たな友人を求めて
ついついそう言う言葉が出てしまったのかもしれませんね。
 
いやー、謎ももちろん面白かったですが、
夏目さん好き、ホムワト好きには萌えの宝庫でございました。
島田さんは本当にハズレがねえええええ。