- ローマ帽子の秘密 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
- ¥780
- Amazon.co.jp
イケメン!エラリー・クイーンさんイケメン!
これは最近刊行されている角川さんのエラリーシリーズ。
でも私は図書館で借りたので小さい活字の創元推理文庫版…。
(ちなみに創元さんも新訳が出たそうですので購入する方はそちらに!)
もちろん脳内でイケメン変換して読みましたけどね。
さて、ミステリー好きなら知らない人はいないエラリー・クイーン。
私は最近海外モノのアンソロジーなど読むようになって
やっとその評判を聞くに至りました。
今の若い方はよろしいですな!
こんなイケメンなエラリーさんが読めるんだもの!←言い過ぎ
では、以下ネタバレ感想でっす
文庫にしては結構なボリュームがあったので
連続殺人ものかな~(´ε` )と思っていたのですが、
殺人は一件しか起こりません。
それに、これといって展開があるわけでもありません。
事件としてはいたってシンプル。
ブロードウェイのはずれにあるローマ劇場にて
『ピストル騒動』という演目が上演されている途中に
一人の紳士が毒殺されてしまいます。
その紳士の正体は悪徳な弁護士であり、
罪人の減罪、もみ消し、ゆすりなんかを生業としていました。
捜査に駆り出された警視のリチャード・クイーンと
その息子エラリー・クイーン。
エラリーさんは推理小説家でかなりのビブリオマニア。
今回もファルコナーの初版本を狙っているのですが
父親に引きずり回されて結局手に入れられずに終わります(´・ω・)カワイソス
父親が警察、息子が推理小説家というのは法月父子を思わせますね、
法月さんが日本のクイーンと呼ばれている理由がよくわかりました。
さて、殺された悪徳弁護士のモンティー・フィールドですが、
犯行現場から持ち去られているものがありました。
それがこの事件の重大なキーアイテム。帽子、シルクハットでした。
私はこの時代の観劇のスタイルなんかにはとんと疎いですが、
礼服を着たらシルクハットは絶対にかぶってないとおかしいらしい。
背広のひとは被っていたら逆におかしいらしい。
さて、父子は捜査を開始します。
第一発見者、劇場の従業員、役者、観客の中にフィールドとつながりがあるもの
たまたま言葉を交わしてしまったかわいそうな女性などなど
丁寧に、しらみつぶしに捜査が行われていきます。
この辺はちょっと今のミステリーを読み慣れた人には助長に思えるかも。
私はクイーン父子の会話にいちいち萌え(*°∀°)=3ていたので
気にならないレベルでしたが
「なぜ帽子がないのか?どこへいったのか?」という謎だけで
長編を引っ張っているのは少し無理があるかもしれない…。
二人の調べて、当日劇場には
・帽子を持ってこなかったけれど帽子を持って帰った人や
・二つ帽子を持って帰った人
はいないこと、それから劇場には帽子が残されていなかったこと
がわかりました。
このあたりはひとつひとつ丁寧に、論理的に話が進むので
父子と一緒に捜査をしているような気分が楽しめます。
以上のことから、エラリーは
・帽子には犯人を示す重要な手がかりがあったので持ち去られた
・しかし、帽子を持ち去る用意を犯人がしてきていなかったので、
そのことを知ったのは殺す直前だったと考えられる。
・劇場に帽子がないということは、誰かがどうにかして当日中に持ち出したはず
という結論に至ります。
帽子一つでどんなけ推理ひっぱるんやと思いますが、
なかなか興味深いです。
さて、では帽子はどこへ行ってしまったのは?
答えは、役者が使用する衣装の帽子群のなかでした。
犯人はシルクハット姿で劇場に来て、
役者として舞台に立ち、犯人から帽子を奪い、
自分の帽子を劇場において、犯人の帽子をかぶって帰っていったのです。
ほほー、なるほどなぁ。
トリックだけ見てみるとふーん(´ー`)レベルですけれども
ここに至るまでの経緯が大事なんです!(のはず)
(でも本心を言うとこれ中編位にまとめられるんじゃないの…とも思う)
まぁこれはシリーズ第一作ということもあって、
Q父子の性格や人間性の描写に重きを置いていたというのもあるのだと思います。
二人の会話+召使のジューナのからみは見ていてほっこり(*´ω`*)
リチャードパパは嗅ぎたばこが手放せず、息子自慢の良きパパで
人あたりもよく信頼に厚い素敵な大人。
エラリーは書痴の皮肉屋でややもすると人嫌いなところがあり、
それでいてひらめきは一級品というチートキャラ。
エラリー・クイーンという探偵ばかりがピックアップされがちですが、
Q父子は二人でひとりの名探偵といってよさそうです。
犯人を罠にかける鮮やかなラストで、本編終了です。
読者への挑戦状あり、一つ一つの可能性をしっかりと潰す
論理展開ありのまさに本格推理小説。
次は『フランス白粉の秘密』だそうです。
近いうちに読みたい…できればイケメン版のを←まだ言ってる