殺しの双曲線 (講談社文庫 に 1-4)/講談社
¥650
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雪が酷かった地域の方々は大丈夫ですか?
埼玉なんかは転倒などによる怪我が多発しているようです。
もう溶けているのかもしれませんが、
アイスバーンが一番危ないらしいですから
気をつけて歩きましょうね。
特に普段から笑いの神に愛されている方。
 
今日はお仕事先で1ヶ月近く取り組んでいたプロジェクトに
欠陥が見られまして…途中からやり直しになりました。
私が担当したところだったのでもう恐縮し通しです…(´・ω・`)
明日からまた頑張ろう!
 
本日ご紹介するのはご存知!ミステリの大御所
西村京太郎さん『殺しの双曲線』です。
「おいおい、西村京太郎()とかwwww
売れ線狙った低レベル佳作続出作家だろwww」
と思っているミステリー好きのアナタ!!!
もったいないですぞ!多作作家=つまらない
なんていう思い込みは今すぐ捨てるべし!
 
かくいう私も「二時間ドラマになってるやつって
だいたい犯人分かるし崖の上で事件解決するんでしょ?」
くらいの偏見を持っておりましたが、
んなこたぁない。
 
売れ線=面白いってことなんですよ。簡単なことです。
特に多作に足を踏み入れたくらいの西村さんは
質も半端なく高いと評価されているご様子。
また、多くの人に読まれるだけあって
文章が非常に平易でわかりやすいです。
遅読な私でも2時間くらいで読めました。
これは本とか苦手…っていう人には
ちょうどいいんじゃないでしょうか。
 
以下ネタバレ感想
 
冒頭の作者注にもありますように
この作品のキモは禁忌とされている「双子トリック」。
もちろん冒頭でこのように書かれてますので
あくまでフェアであります。
 
お話は東京で起こった連続強盗事件と
雪山で繰り広げられる連続殺人事件のパートが
交互に展開されます。
 
都内で起こった連続強盗事件の犯人は双子!
そのうち一人が実行犯をつとめますが、
瓜二つの双子を前に刑事たちはどちらが犯人なのか
区別がつかずにやきもきするばかり。
 
一方、見に覚えのない招待状をもらって
雪山の山荘に集められた6人の男女+管理人。
そのうちの一人が密室で首吊り死体となって
発見されたのを皮切りに、
次々と人が殺されていきます。
 
半分を過ぎたあたりでも二つがリンクしないので
ん?これどこでつながるの?と思いましたが、
意外な接点(でもそんなに衝撃的ではない)が浮かび上がります。
 
これは作中でも触れているとおり
『そして誰もいなくなった』へのオマージュでありますが、
そこに双子を使ったトリックを匂わせることによって
新たな物語へと発展させています。
まさに正当な挑戦といったところ。
 
有栖川さんの例の作品を読んでいるので
「もしかして双子もうひと組いんじゃないの?」
と思っていましたがやはりそうでした。
しかしその隠し方が自然な上、
他にも怪奇な不可能事が起こるので
決して凡庸な印象は受けません。
 
さて、事件の前に、犯人はあらかじめ一体の死体を作っておいて、
それを自分の死体と見せかけて自分は生き延びるわけですが、
これはボーリングのピンから想像しなきゃいけなかったんですね…。
( `・ω・) ウーム…ハードルたかし。
 
双子であることを利用して、
一方が現場に押し寄せる新聞記者に化け、
入れ替わってまんまと逃げおおせた犯人でしたが、
結局は雪山という大自然の前に罪を裁かれることになりました。
 
終わってなお、この計画が完全であったところは
西村氏の「善人への無差別な悪意」に対する
一つの解答なのかなと思います。犯人に肩入れしたくなっちゃいますよね。
鉄壁な計画の前に刑事は犯人の牙城を崩せません。
 
しかし、計画の不備で一人の少女を死なせてしまったことに
犯人は揺らいじゃうんですねヽ(;▽;)ノ
どんなに完璧なトリックも、
人間の心の前には通用しなかったんですね。
 
とりとめのない感想羅列でしたが、
偶然や運の要素が強いながらも、
丁寧に構成された作品であると思います。
クローズドサークルもの好きな方は是非。