- 金雀枝荘の殺人 (講談社文庫)/講談社
- ¥571
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いよいよ今年も残すところ1日になりましたね、
そんな私は今日も懲りることなく、
ミステリーなんぞを読んでいたわけであります。
高校の時の友人と忘年会をしたのですが、
自分の喪女ぶりに愕然www
アメトーークで光浦靖子さんが言っていたように、
女は本を読むとどんどんブスになるのだわwww
いや、ブスだから本を読むのよw
本日ご紹介するのは今邑彩さん『金雀枝荘の殺人』。
クローズドサークルものの面白い本ないかしらと
思っていたら、『よもつひらさか』でベタ惚れした今邑さんが
ものしてらっしゃるというではないですか!
一も二もなく拝読にいたりました。
不気味なドイツ風建築、成金一族の末裔たち、
『狼と七匹の子ヤギ』に見立てられて殺された大学生たち、
異人の肖像画、そして招かれざる客…。
大好きだあああああ!(*´∀`*)
何なんだこの私のド好みの舞台設定は!
今邑先生ありがとう(´;ω;`)足向けて寝られない。
エリザベートというドイツ人と結婚し、
ドイツ風の館に住んでいた田宮弥三郎という男は、
一人の娘、茉里杏奴を授かる。
しかし、娘を産んですぐに、エリザベートはドイツに帰国。
茉里杏奴は5人の子供を産み、
弥三郎は9人のひ孫たちを得る。
そんな金雀枝荘で、殺人事件が起こる。
管理人の瀬川直吉が娘と妻の玉を惨殺し、
首をつって自殺したのだった。
生まれたての息子、栄吉は無事だった。
ときは移り変わり、1989年12月、また殺人事件が起こる。
今度はクリスマスパーティをしにやってきた、
9人のひ孫たちのうちの5人と、当時の管理人がひとり。
6人の人間がお互いを順番に殺し合い、
最後の一人は原因不明の溺死を遂げていた。
そして現在、1990年8月、残された4人のひ孫たちと、
偶然通りかかった招かれざる客、中里は
二つの連続殺人の謎を解明する。
さて、連続殺人の謎はいわゆる『そして誰も…』パターンの
変化球だと思われますが、味付けが非常にイイ(・∀・)!
童話の見立て、殺された順番の偽装にきちんと意味があり、
見えなかった「抜け穴」が見えるカタルシスは一級品です。
毒殺が出てきた時に勘のいい人なら「ん?」と思うかもしれませんが、
うまく話に乗せられてミスリーディングさせられちゃいます。
で、結局「誰が犯人なの?」というもうひとつの謎ですが、
これもなかなかにストーリー性のあるお話で楽しめます。
中里=栄吉の子供=犯人と思わせつつの、
実は乙彦=中里の弟=栄吉の子供=犯人という素敵オチ\(^ω^)/
弥三郎に操られ必死に殺そうとしていたひ孫たちが、
実は血の繋がった本当の子孫だったなんて皮肉すぎる(´;ω;`)
私が今邑さんを好きなところは、
この理路整然とした本格推理小説を
ホラーテイストで脚色してくれるところだと思うのですよ。
話の進行上、霊感少女なんていらないし、
腕のない作家さんが書いたら、エリザベートの怨念なんて
陳腐な蛇足になってしまうと思うのですよ。
しかし、今邑さんはそれを一級の恐怖・ドラマに仕立て上げる
確かな筆力があるから、抜群の雰囲気を持った作品になっているんです。
最後に中里と杏那がいい感じになっているのが救いです。
来年は今邑作品全作読破しようと思います。
あー、惚れた。惚れたよ。