インシテミル (文春文庫)/文藝春秋
¥720
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本日二冊目は、ミステリ好きの方からご紹介いただいた
米澤穂信さん『インシテミル』です。初めて読ませていただきます。
米澤さんといえば、『氷菓』がアニメになるなど、
現在最も若年層に人気のある作家さんの一人という印象。
ラノベとエンタメ小説のあいだをウロウロされている作家さんなようで、
日常のミステリーから、青春小説まで幅広い作風が売りだとか。なるほど。
 
本作はそんな米澤さんの中でもかなりの本格寄りの作品だそうで、
「出来すぎた閉鎖空間での疑心暗鬼による殺し合い」
というミステリファンのツボをくすぐりまくる設定です。
貴志さん『クリムゾンの迷宮』が好きな私のこと、
こういう人を小馬鹿にしたような設定が好きだ(*´ω`*)
もう完全に物語の中だけで紙からこっちには絶対来て欲しくないが。
 
では、以下ネタバレ感想。
 
時給11万2000円という破格のバイト料を餌に、
わけのわからないモニターに参加した12人の人間。
事細かなルールがサスペンスフルな状況を演出してくれます。
(夜中出歩いたらロボットに殺されるとか、
人殺したら報酬2倍、犯人を当てたら報酬3倍みたいな)
 
さらにバトルロワイヤル方式で、ひとりひとりに武器が手渡されます。
それも有名なミステリー小説に則って。
こういう演出もくすぐるな~(´∀`*)ウフフ
でもここにも作者の巧妙な罠が仕掛けられています。
 
最初の犠牲者西野が蜂の巣になって死んでいたことから、
お互いを信じ合えずに崩壊していく倫理の壁。
主人公の怯える様子や、倦怠感、
そしてある一定のレベルを越えてからの徹底的な無関心さ。
読みやすい文章も手伝ってグイグイ引き込まれていきます。
 
オチには結構がっかりしたという意見もあるようですね。
確かに全ての殺人が単独犯によるものではないのは驚きも半減だし、
犯人がわからない→自殺(ロボットによる)というのも
特に驚きという感じではないかもしれません。(私はどえらい驚きましたが)
 
しかし、私は作者さんが考えた
「自分で殺して自分で謎をとけば報酬が雪だるま式に増える」
という至極簡単で、でも誰も思い至らなかったことを
話の根幹に据えて、その上に本格の城を築き上げた手腕はすごいと思いました。
薬殺と毒殺の件も見事だな~と思いましたし。
 
きっちり決められたルールも、一通り生かされて
うまくまとめたな~と思います。
何よりも今のご時世でここまでゲーム的な殺し合いを書いてくれるなんて、
不謹慎すぎてどうもありがとうございます。大好きです。
 
だめだ、感想が支離滅裂w
 
これ映画にもなったんですね。大好きなバナナマン日村さんが声で出演なさってます。
バトロワの藤原さんがまた出ているのはなんだか胸熱(´∀`*)
小説とはだいぶ違った結末ですが、これはこれでいいのではないかと。
平山あやさん可愛いし、武田真治さんすげーいい味出してるしw
俳優さんたちがとにかく楽しそうだぜ!ホリプロ万歳!
 
バトロワと同様、この作品も、
キングの『死のロングウォーク』にインスパイヤされたのだとか。
嘗てのキングフリークとしてチェックしておかねば。