- 怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM)/早川書房
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こんばんは。
『とびだせどうぶつの森』にのめり込んでしまい、
めっきり読書速度が落ちております、管理人です。
でも月20冊以上を目指して読んでまいりますので、
こんな需要のないブログですが、
どうぞお付き合いくださいませ( ^ω^)_凵
さて、本日はルブランさんの『怪盗紳士ルパン』です。
私の好みの推理小説の大事な要素に
『魅力的な主人公(ピカレスクならなおよし)』
という項目がございます(完全に個人の趣味です)。
なのにルパンシリーズを読んでいないなんてダメだろ!
と思ったので、今回シリーズ第一作を手にとってみました。
読む前に抱いていたルパンシリーズの勝手なイメージ
・とりあえず紳士、人を欺くのが快感なんでしょ?
・でもレディには優しいんでしょ?(´ω`*)
・銭形のとっつあんみたいな人が出てくるんでしょ?
・冷静で冷酷無比な怪盗なんでしょ?
こんな感じでした。ファンの人すみません\(~o~)/
でも意外や意外、読んでみるとルパンの何と人間臭いことか!
凡庸な視点から描くことでホームズを超人に仕立て上げた
ワトソンという助手の功績は確かに高いですが、
このように主人公視点を採用することによって
ルパンの心情や焦り、悔しさがダイレクトに伝わるのもいいもんです。
本作は短編集。ルパン登場から、その生い立ちまで
幅広い作品が収められています。
ではネタバレ一言感想行ってみよ!
①アルセーヌ・ルパンの逮捕
のっけから逮捕の話なのか!とちょっとびっくり。
豪華客船プロヴァンス号で巡りあった
ダンドレジー氏とミス・ネリー。
二人の乗った船にルパンが潜入したという情報が!
ルパンとして金髪のロゼーヌが怪しまれる、
その濡れ衣を晴らすために
ルパンを捕まえたものに賞金を出すというロゼーヌ。
実はダンドレジーがルパンだったよーんというオチ。
「それではいったいアルセーヌ・ルパンは誰なんだろう?」
とwwwぼwwwwけwwwてwwるwww
アメリカに着いてすぐに
ガニマール警部に逮捕されちゃうルパンですが、
ミス・ネリーが機転を聞かせて
盗んだ宝石を海に落として助けてくれます。
ルパンの恋心が切ない(;´Д`)
とても人間臭い描写がなされています。
しかもこのミス・ネリー。
そんじょそこらの回答に惚れ込んで手助けしちまう軽い女じゃございません。
あくまでも気高く、恐れ、戸惑いながらルパンに対峙します。
②獄中のアルセーヌ・ルパン
獄中にいるルパンから盗みの予告状が届いた!
狙われたのはカオルン男爵のお城。
困った男爵は近くに休暇に来ていたガニマールに相談することに。
かくして、犯行予告当日ガニマールと二人の部下を城へ招き
準備は万端かと思われたが翌日になると財宝はすっかり盗まれていた!
実はガニマールと二人の部下がルパンの手下。
ガニマールの顔を知らない男爵を騙し、
城内に招き入れさせたという作戦でした。
いつも思うけどルパンの部下って仕事できるよね。
③アルセーヌ・ルパンの脱獄
ルパンが獄中から脱獄の手配をしている証拠を握ったデュドュイ部長。
彼を泳がせて脱獄したあとに逮捕させようとするも、
彼は自ら牢獄に戻ってきてしまって失敗。
自分のタイミングで出たいとかwww余裕すぎw
しかしルパン曰く「ぼくは裁判なんか出やしない」
そして裁判の日が近づいたが、
ルパンの様子がどうもおかしい。
目は落ち窪みどんよりとし、自分のことをポドリュ・デジレなどと言い出す。
心神喪失で罪を逃れようとしてもそうはいかんぞ!
と判決が下りかけますが、
ガニマールの「ルパンなあんな腐った魚の目じゃない!」
という一言でデジレさん釈放。
晴れて自由の身になったデジレさんでしたが
実は彼がルパンだったんだよーん!というオチ。
ルパンは心理工作にも非常に長けています。
④謎の旅行者
前半、天下の大怪盗ルパンが押され気味。
特急列車に乗っていたルパンと偶然居合わせた婦人が
連続殺人犯に襲われ、身ぐるみ剥がされます。
この話も、最初主人公がルパンだとはわかりません。
しかし
「ぼくはといえば、ミイラみたいにぐるぐる巻きにされ、
座席に転がされている。このぼく…アルセーヌ・ルパンが!」
という独白で、あ!こいつがルパンなんか!となります。
焦ってるルパンかわええ(´∀`*)
殺人犯はその後列車から飛び降り逃走、
ルパンは婦人をして男をルパンだと思わせて
警官二人とともに偽ルパンを追い詰めます。
婦人と警官に謝礼を残しておくあたり、紳士です。
⑤王妃の首飾り
これはルパンの生い立ち(明言はされてませんが)。
ある夜会のあった夜、スピーズ家の王妃の首飾りが盗まれた!
現場は密室、犯人は結局わからなかったが、疑われたのは
当時召使として働いていたアンリエット。
幼い子供のいる彼女は無実の罪を着せられ、
屋敷から追い出されることとなってしまった。
事件から数年後スピーズ夫妻の晩餐会で、
フロリアニという騎士が、当時の事件の謎解きを始めます。
トリックとしては、窓の隙間から曲がった棒で
小窓を開け、そこからアンリエットの子供が
首飾りを盗み出したというもの。
フロリアニ=アンリエットのガキだと気付いたスピーズ夫妻は、
彼に首輪の返還を求めます。
そして数日後夫妻のもとに首輪が送られてきます。
差出人アルセーヌ・ルパンとして。
ストーリーにひねりもあって、ちゃんと密室もあって
上質な短編です。
⑥ハートの7
一応この物語の執筆者である「わたし」と
ルパンとの出会いを描いたこの作品。
ある日、私の部屋に何者かが侵入し家捜しして出て行った。
しかし、盗まれたものはなにもない。
しかも数日後、アルフレッド・ヴァランという男が
いきなり部屋に来て自殺。わけわからん!
ちょっと話がややこしかったのでまとめ
・「わたし」の部屋でルイ・ラコンブが設計図を作った
・ルイ・ラコンブはその補足資料をアンデルマットに渡した。
・ヴァラン兄弟、ラコンブ殺害。庭に埋める。
・アンデルマット、ヴァラン兄と不倫。ラブレターをネタにゆすられる。
・ヴァラン兄弟、ラコンブ氏の部屋に全財産隠す
・それがなくなってるのに気づいて弟自殺(それもどうなのw?)
・ルパン、ヴァラン兄とアンデルマットを呼び出し、
アンデルマットに妻の手紙を私、補足資料ゲット
ヴァラン兄を脅して設計図ゲット
妻の浮気の手紙をマイルドに書き換えておくアフターサービスつき
手に入れた潜水艦の設計図は軍部へ提出。
意外と愛国心があるルパンなのでした。
世情的にこう書いた方が人気が出たからなのかな。
⑦アンペール夫人の金庫
ちょっと長くなってきたので、ほんと一言だけ。
これはルパンがまんまとしてやられるお話。
身分を偽り秘書として働き、夫妻を騙して
株、証券類をまんまと盗み出すルパン。
しかし実はそれらは全部偽物だった!
夫妻は秘書に罪をすべて擦り付けて高飛び!
いっぱい食わされた話でした。
この話には実はモデルがいるそうです。
テレーズ・ドリニャックという人物がこの話の夫人と同じく、
架空の人物の名を使用して銀行から多額の借金をしていたそうです。
⑧黒真珠
ふひひー!黒真珠盗んでやるぜ!
ふっ、ちょろいちょろい。医者を騙して、鍵を開けて、
この箱の中に入ってるのは知ってるもんねー!
あれ、なんか人間っぽいのが床に落ちてる…。
どっひぇー!夫人しんでるー/^o^\
ルパンが強盗殺人に居合わせてしまう話です。
普通の窃盗犯ならそそくさと退場して終了ですが、
ルパンはそんなぬるいことしません。
警察に犯人をつきだしても黒真珠は手に入らない。
そうだ!捜査を妨害して直接犯人を恐喝しちゃえ!
というわけで、めでたく黒真珠を手に入れたルパンでした。
⑨遅かりしシャーロック・ホームズ
ルパンとホームズ先生は度々対決されてます。
ルブランさんもホームズ先生に
経緯を払っているのは十分わかるとは言え
結局はルパンにもうちょっとのところで届かない!
というストーリーが多いらしいですね。
でもこの世紀の対決をルブランさんの筆で読むことができるのは
ある意味幸せなのかもしれません。
さて、とあるお屋敷の隠された地下道を
古文書の言葉と古地図から見つけ出し
そこから財宝を盗み出したルパン。
しかし盗みの当日、客人として招かれていた
ミス・ネリーと再会してしまいます。
うろたえて「お、俺ホントは盗人じゃねーから!」
と言い訳がましいことをするルパン。
芸術犯罪と人間の感情のあいだで揺れるルパン…かわええ(´∀`*)
結局盗んだものを全部返しちゃいます。
そして遅れてきたホームズ先生が、地下道を発見。
この頃ホームズさんは御年50なんですね。
ワトソンさんと別れたあとだから助手不在なのかしら?
暗号解読の手腕はやはり鮮やかです。
でもホームズさんの変人・天才っぷりがやっぱり薄い…。
二人はお互いをライバルとして認め合うのでした!
長くなっちゃいました…。
需要あるのか?この覚書。
ルパンが思ったよりも人間だ。冷血無比感あんまないです。
盗みに対する美学、人を欺く快感などは確かに持っていますが、
ある一線以上は絶対超えないというプライドがありそうです。
次は長編に挑戦してみようかな!