- 乱れからくり (創元推理文庫)/東京創元社
- ¥840
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だんだん本格的に寒くなってきましたね、
電車や駅のホームで本を読んでますが、
寒くなってくるとなかなか本に集中できなくて困る…。
手袋するとページ捲れませんしねー。ぬーん(´・ω・`)
さて、本日は泡坂妻夫さん『乱れからくり』です。
これも有栖川さんオススメだから読んだんだっけな。
アマチュアマジシャンを長くやられていた作家さんらしいです。
ミステリー好きな人ってやっぱりマジック好きなのかな?
綾辻さんもマジックおやりになってた記憶が。
泡坂妻夫って不思議な名前だなと思っていたら、
本名厚川昌夫のアナグラムなのだそうだ。なるほど。
初めて読ませていただきました!
では、ネタバレ感想行ってみよ!
泡坂さんといえば、亜愛一郎さんが探偵としては有名ですが、
なんのなんの、本作の探偵役舞子さんもいい味出してます!
伝法肌な舞子さんと、思い込みの激しい敏夫さん。
いいコンビです!続編はないみたい。残念。
長年追い続けたボクシングの道を諦めた敏夫は、
宇内経済研究会という企業専門の興信所に就職する。
会社とは言っても、社員は舞子と敏夫の二人だけ。
初めて受けた依頼は、ひまわり工芸という玩具メーカーの
制作部長、馬割朋浩の妻、真棹を監視しろというもの。
しかし、その監視の途中馬割夫妻の乗った車に隕石が衝突。
依頼者の明浩死亡。この時点で私ポカーン(゚д゚)
さらに、その告別式で二人の子供透一くんが
睡眠薬を大量に誤飲して死亡。
さらにさらに、朋浩の姪である香尾里が
誕生日に目を撃たれて死亡。
さらにさらにさらに、逆立人形を自慢していた
朋浩の従兄弟宗児が人形に仕掛けられた毒針で死亡。
さらーに、いつものようにお薬を飲んだ鉄馬も死亡。
全編を通して、舞台が玩具メーカーの一家を扱った話だからなのか
からくり人形の話がたくさん出てきます。
それこそ有名なお茶を運ぶやつやら、
一瞬にして女性の顔が鬼になる人形やら
世界観いいな~と思って読みすすめてました。
でもこのからくり三昧にはちゃんとした意味があったです!
事件を調べていくうちに二人は、馬割家が
かつてのからくり職人の大野弁吉の弟子だということを突き止める。
しかも、弁吉の友人の財産を『ねじ屋敷』に隠しているらしい。
朋浩、宗児、透一、香尾里、鉄馬が死ねば、その財産は全て
真棹のものになること、
さらに、四人を殺すことができたのは彼女だけだということで、
彼女を連れて逃亡を企てる敏夫。
情熱的です!(抱いちゃったのはマイナスポイント)
しかし、ここで真打舞子さん登場。
実は一連の事件は全部からくりを使った遠隔殺人なのだよ!
そしてそれができたのは死んだ朋浩だけなんだよ!
す、すげええええええ!こりゃすごい!
いや、もちろん全部遠隔殺人だったっていうのもすごいんだけど、
今までのからくり談義はこのためだったのか!
ただの雰囲気作りじゃなかったんだ!
練りに練られた話に思わず膝を打ちました。
朋浩さんが死んでからも、止まることなく動き続けた殺人仕掛け。
透一→甘いもの好きの透一に、甘い糖衣錠に似た菓子を与え、
くまのぬいぐるみの背中に電池と見せかけて睡眠薬入り瓶を入れておく。
宗児→逆立人形のネジを巻くと針が飛び出す仕組み
しかし、衆人環視で彼が死に、からくりが明るみに出てしまった。
香尾里→誕生日プレゼントの万華鏡を覗くと銃弾が発射される仕組み。
鉄馬→カプセルには確かに全部毒が入っていたけれど、
溶けないプラスチック製になっていた。その中に本物が一つだけ入ってた。
よくもこう遠隔殺人のネタがポンポン思いつくものです。
香尾里さんのはちょっと無理がないかと思わないでもないですが、
どれもそれだけでミステリー一本書けちゃうくらいちゃんとしたトリックです。
さて、事件解決後、じゃあその財宝どこにあんの?となり、
洞窟内部からそれっぽいものを見つけますが、
あったのは二束三文の天保銭。
なーんだ。ま、そううまくいかないよねーと思ってたら、
実はそれもトリック!天保銭の中には本物の金が!
もうやられました。
それをあっさりと真棹に連絡する舞子と敏夫が潔い。
総じて、いやーいいもん読ませていただきました。
これは名作だわー最近名作によく当たって嬉しい。
結局舞子の濡れ衣は晴らせずに終わってしまうんですね。
それだけがちょっと残念。そして舞子さんの旦那さんを見てみたいw
続編激しくキボンヌ(・∀・)