猫は知っていた (講談社文庫 に 2-1)/講談社
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本日二作目は二木悦子さんの『猫は知っていた』です。

有栖川有栖さんのおすすめということと、

元祖草食系イケメンということで拝読。

最近まで全く知らない作家さんでした。


なんでも、第三回(実質第一回)江戸川乱歩賞受賞作ということで、

昭和32年に世に出た作品なんですね。

なので物価や、テープレコーダー、銭湯、防空壕など

リアル昭和レトロな雰囲気を味わうことができます。


ではネタバレ感想行ってみよ!


二木雄太郎、悦子兄妹は住んでいた場所を追い出され

友人のツテによって箱崎医院という個人病院のニ階に

住まわせてもらうことになります。

しかし、引越ししてきた翌日院長の義母桑田ちえが何者かに殺され、

防空壕で発見されてしまいます。

同時に行方不明になる入院患者平坂。

そして続いて殺される看護婦の家永。

草食系雄一郎さんの推理が光ります!


事件の流れをまとめるとこんな感じ

・犯人、平坂殺害を計画

・敬二、ユリの部屋から金と指輪を盗む

・防空壕に平坂を呼んで殺害

・防空壕にちえが来ちゃった!→殺害

・防空壕から指輪見つかる

・平坂が生きてると思わせるため電話→テープレコーダーのトリック

・日焼けやらなんやらさせて平坂の死体を損壊、桐野婦人が聞く。

 (ここでちゃんと兼彦が驚いてる!)

・共犯の家永殺害→ナイフ発射と眠らせた猫による時限装置

・桐野婦人殺害未遂→桐野の話を知っていたのは兄弟と警察以外は兼彦だけ。


という感じ。この事実をいろんな人の証言を細切れに提示してあります。

テープレコーダーのトリックや、猫の時限装置は

今からすれば真新しいトリックではないのかもしれませんが、

本格推理小説として十分に面白い作品です。


推理小説としてありがちな、被害者と犯人以外は

数合わせだけのただのモブということもなく、

ユリの生い立ちや、敬二の手癖の悪さ、

ちえのやさしさなんかがストーリーにきちんと絡んでくるのが

女性特有の繊細さというか丁寧さというかいい仕事してます!

解説に平易暢達な文章と書かれていましたが、まさにそうです。

こりゃ多くの人に好かれる作品だと思います。


現在、ポプラ文庫ピュアフルにて

非常に可愛い装幀で出版されているのでそちらを読むのもいいかも。

この素敵兄妹は現代でも十分に需要があるわ( ´∀`)

この兄妹、二木悦子さん自身の兄妹がモデルだそうで、

教育熱心だったお兄さんは出生してしまったそうな。

こうして小説にすることで、お兄さんが生きていると思いたかったのかな…。

映画かもされているそうです。TSUTAYAにあるかな~。