- そして扉が閉ざされた (講談社文庫)/講談社
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さて、本日は岡嶋二人さん『そして扉が閉ざされた』です。
ここへ来て岡嶋二人さんおよび井上夢人さんをよく読んでます。
読みやすい文章を書かれるのでサラっと読みたい時にいいです。
でも決して内容が薄っぺら位というわけではないのでご安心を。
ではネタバレ感想行ってみよ!
ある日突然目が覚めたら
核シェルターに閉じ込められていた男女四人、
雄一、鮎美、千鶴、正志。
この四人は友人というわけではなく、
三ヶ月前、雄一の彼女咲子が別荘に招待した人達。
彼女は三ヶ月前、事故死したばかりだった。
その事故死に疑問を持った咲子の母雅代が、
四人に罪を告白させようと仕組んだと思われた。
設定が面白いです。
全編核シェルターの中で話が進みます。
東野圭吾さんの『むかし僕が死んだ家』も
ワンシチュエーションで話が進みましたが、
今回はただの箱ですからね!
小劇場あたりで舞台にしてくれないかしらん。
咲子は愛車のアルファロメオとともに別荘近くの海岸から
死体で発見されました。
みんな事故死であると主張し、
殺人だと仮定してみても各人にはきちんとアリバイがありました。
咲子を殺して、崖から落とすことができた人は一人もいません。
まさに不可能犯罪。
でも、検証を続けていくうちに、
鮎美には彼女を殺す機会が、
正志には彼女を崖から落とすトリックを仕掛ける機会が
あることが判明し。単独犯でないことが明らかに。
さらに、実は鮎美が殺したのではなく、
雄一が突き飛ばしたとき誤って殺しちゃってたことが判明。
アイスピックを置く場面の描写がやたら詳しかったのはそのせいだったのか…。
そして千鶴だけ空気(´・ω・`)
しかしこの雄一という人はヒドイ(;´Д`)
いや、咲子も鮎美も正志の勘違いっぷりもひどいけど、
冷めたとは言えかつての恋人殺しといて、
その罪を被ろうとした鮎美やっぱりスキー(*´∀`*)っておいおい…。
鮎美は芯が強そうで好感が持てました。
さて、本編も面白かったですが
本作の解説であるゴッド島田荘司さんの解説が面白い。
今までなんとなーく使っていた『ミステリー』と『推理小説』の
違いを、スパっと定義してくれます。(あくまで御仁の意見ですが)
『白鳥の湖』の舞台裏で、プリマが殺されていた。
→でもプリマの死亡推定時刻に彼女は舞台で踊っていたよ!(不可思議さがある)
①なんとも不思議だねぇ…で終了→ミステリー
②実はプリマには双子の妹がいたのだよ!→本格ミステリー
→なに?殺人?はい直ちに容疑者集合!(特に不可思議さなし)
①誰が犯人やねん!→推理小説
②誰が犯人なのかの言及が論理的→本格推理小説
だ、そうです。なるほどね!
私は今までミステリーは読んだあとに
すべてが整然と解決するものだと思っていましたが、
この分類で行くとそうではないようです。
「なんで!?どうして!?」っていう謎が書かれていれば
それはミステリーなようです。
確かに解説でゴッドがおっしゃっているように
井上夢人さんは『ミステリー』色が強い!
論理的矛盾なく話が終わるものが、 『本格』という様式らしい。
にゃるほど!
これからはきちんと使い分けて行こうと思います。