噂 (新潮文庫)/新潮社
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本日は荻原浩さんの『噂』です。

初めて読む作家さんです。

ホラー色強い小説ないかいなと思って探していたら、

ホラーサスペンス、しかもどんでん返がすごい!

と評判でしたので挑戦してみました。


印象としては、藤原伊織さんっぽい

しがない大人のおっさんが頑張るエンタメ。

(雑すぎる紹介ですみません)


ストーリーが面白いだけじゃなく、広告業界の裏側

(WOMの記述に関してはなるほど!と普通に勉強になりました)

や、警察内部の所轄と本部の力関係、

大人と女子高生の間の分厚い壁

なんかが、きちんと書かれています。

これは社会派と言ってもいいのでは?


ではネタバレ感想行ってみよ!


日本で新たに売り出す香水、ミリエルの販促のために、

「ミリエルの香水をつけている女子高生は

足首を持ち去る連続殺人鬼、レインマンに狙われない」

という噂をWOM(口コミ)で広げようとしたコムサイト社。


噂は数ヶ月で爆発的に広がったが、

機を同じくしてまさにレインマンが起こしたとしか思えない

殺人事件が起きてしまう。

殺された少女はいずれも足首から先を持ち去られていた。


事件を追う中年刑事小暮と、年下の部下名島。

このコンビいいですねー!

どちらかというと事件全体が暗い雰囲気なので、

読んでいると若干疲れてくるんですが、

二人のユーモラスな会話を聞いているとなごむ(*´∀`*)


渋谷の異星人としか思えない女子校生を相手に

四苦八苦しつつも捜査を続け、

丁寧に証拠をつかみ、じわじわと真相に近づいていく描写は

地味だけれどサスペンスフル。


車の使用の有無と行動範囲、

筆跡や利き腕そして指紋などから広告代理店の

平凡な青年が、実は足フェチだったと判明。

順当にタイーホとなります。

その他にも、SMクラブの女王様だった杖村や、

麻薬を所持していた麻生の逮捕など

周りの人間も一様にキャラが立っていて飽きさせません。


事件後には小暮と中島がいい感じに終わって

めでたしめでたしかと思いきや、

ラスト一業の衝撃!確かにありました。

女子高生特有の無関心さの恐ろしさ。

罪を罪とも思わない軽々しさ、

少しステレオタイプ化されすぎた女子高生像かなと思いますが

一概に否定もできないですね。


エンタメとしては面白いです。

無駄なキャラ付けや、わざとらしい会話などがなくても

十分に人間の面白みだけで引っ張れるんだよーと言われた気がしました。

もう現在の女子高生事情は変わってきていると思うけれど、

そこらへんうまく修正して映像化してほしす。