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来ました!建築探偵シリーズ第二弾です!
今回は照英…もとい深春さんはおやすみです。
ちょっと残念。
しかし動くイケメンに撃たれるイケメン、苦悩するイケメン…
いやぁ…探偵っていいものですね。
もちろんイケメン以外のところも十分に楽しいですから!
そんな腐った読み方ばかりしてたわけじゃないですから!
では、ネタバレ感想行ってみよ!
今回の舞台は恒河館というインド風建築です。
そこのオーナー都さんに呼び集められた
かつての仲間と、京介さん(おまけに蒼くん)。
彼女がみんなを集めた目的は、
十年前の事件の真相を解き明かすため。
十年前、インドの安宿で都の恋人橋場が死んでいた。
胸が何かに殴られて陥没し、部屋は密室だった。
この死体の描写が何度も出てくるのですが、
どうして鼻糞の描写が何度もされてるんだとやきもきしていたのですが、
これが事件解決の肝だった…自分の観察力\(^o^)/
さて、当時の事件の探偵役を仰せつかった京介さんですが、
あれこれしてるうちに依頼者の都さんは自殺し、
参加者の一人、猿渡が殺される。
睡眠薬で眠ってしまう蒼、撃たれる京介…ハラハラドキドキの展開です。
真相としては、
十年前の橋場さんが死んでいたのはヘロインを吸引しすぎたから
(死体の鼻で粉を吹いていたのは鼻水ではなくヘロインでした…orz)
胸が陥没していたのは都が天井のプロペラを屋上から落下させたから。
そして現在猿渡さんが殺されたのは、
麻薬の密売がバレるかもと恐れた那羅さんによって。
密室っぽい演出は抜け穴をつかってナンディがやってたよーん。
というもの。
なかなかに面白かったし、なるほどーと思ったのですが、
いろいろな疑問は残ったまま。
おいおいもう残りのページ数そんなないよ…
これもしかして「あとは自分で考えようね」パターンか!と絶望しかけたのですが、
インドのバックパッカーからきた手紙がまたもや驚愕の事実を運んできます。
それがナンディ=都、そして都=男性という事実だったんですね。
ナンディ=都は誰もが考えることだったと思うんですよ。
ミステリに疎い私でさえ考えましたから。
でも年老いた変装を京介が見破れないはずないし、
なにより腕がないじゃないっすか!と思ってその違和感に目をつぶっていたわけです。
しかし京介さんが気づいていたのに黙ってて、
おまけに義手だったとは…いやはや…。
そして都=男性ということも、
やたらとボーイッシュを強調したり、
吉村に隠れて服を着ていたり
なるほど伏線はきちんと貼ってあったのだなぁ…。
都が男性だと知って蒼が驚いた時の京介の対応も、
非常に彼らしいなと思います。
誰の利益にもならないことには無関心、
その冷酷なまでの公平性がある意味で優しさなのかも。
まさかこんなオチが付いてくるとは思わなかったのでびっくりしました。
一作目を読んで、どちらかというと王道の、
物理トリックなんかがお得意なのかなと思っていたので。
この作品は異色作に位置づけられるようですが、
次回も期待です!
今作では解説にもあるように京介さんの内面が
徐々に描かれ始めていますね。
「おめぇ向こう岸の人だな!」的なことをいう那羅さんへの
冷ややかなまでのあきらめにも似た対応が
彼をよく表していると思います。
しかし那羅さんの気持ちもわかるぜ…。
この作者さんの文体は、私には合わないのか、
ちょっと読むのに時間がかかるのですが、
それを補って余りある魅力があるので読み続けようと思います。
そして映像化おねしゃす。