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本日はまず、この作家さんのお名前の読み方から。
「しゅどう うりお」さんが正解。珍しいお名前です。ペンネームかな。
さて、2013年に映画公開を控えているということで、
小説を読んでから映画を観る派の私は原作に手を出してみました。
宣伝ではダークヒーロものだといっていたし、
ピカレスクロマンスキー!の私が惹かれないはずないですよね。
第46回江戸川乱歩賞受賞作だということで、
いやがうえにも期待が高まります。
ではネタバレ感想行ってみよ!
主人公は鈴木一郎(ご安心ください、偽名です。ふざけてるわけではありません)
という感情が文字通り「ない」青年です。
その青年が、連続爆弾魔、緑川紀尚の潜伏先で、
そいつともみ合っているところを仲間だとして逮捕されます。
鈴木の精神鑑定を請け負った鷲谷真梨子と、
爆弾魔を追っている刑事、茶屋の三人を中心に話が進みます。
映画では
鈴木→生田斗真さん
真梨子→松雪泰子さん
茶屋→江口洋介さん
だそうで、そのつもりで脳内キャスティングしてみました。
ただ、茶屋さんは原作では身長180cm、100kg超の巨漢で、
何度か芋洗坂係長が脳裏をかすめました。
しかし鈴木一郎のつかみどころのない感じや、
真梨子の思慮深いんだけれど情に流される弱さなど
いいキャスティングなんじゃないかと思います。
感想は、鈴木一郎マジカッケェー(°д°)
の一言に尽きます。大きな声じゃ言えないが、
ピカレスクロマンが大好きだ!
しかしただのダークヒーローじゃもちろんござんせん。
「感情がない」という描写も、非常に丁寧です。
ただ「冷たい感じの人」という在り来りな設定ではありません。
感情(つまり目的)がないことによって自発的に一切行動しない、
目的がないため記憶の取捨選択が行えなくて、
驚異的な記憶力を有する…など、超人設定に
(正しいかどうかは別として)納得のいく解説がなされます。
そのため、後半に見せる鈴木一郎の成長と、
その結果殺人を犯し続けなければならない悲哀が
ものの見事に有機的につながってきます。
イイ!いいですよ!
ただのイケメン殺人鬼小説じゃないですよ!
もちろんイケメン殺人鬼好き(そんな需要があるのかわらないが)
にもおすすめですけどね!
大まかなストーリーとしては
連続爆弾魔の仲間として鈴木誤認逮捕
(実際は犯行を推理し、制裁しようとしてただけ)
↓
検査に次ぐ検査、
そこで鈴木の出生の秘密と
感情がないという事実が暴かれていく
↓
その病院に爆弾魔緑川さんがいらっしゃる
入院中の玲子ちゃんをこれまた素晴らしい身体感覚で
助けたりする
(ここの映像化激しくキボンヌ(・∀・)
きっと生田斗真氏の肉体はふつくしいのだろうなぁ)
↓
あれ犯人っすよ!茶屋さんマジ捕まえてくださいよ!
と言って茶屋に一般人を捕まえさせ鈴木逃走。
逃走中、本物の爆弾魔緑川は鈴木に殺されて終了。
祖父の刷り込み教育によって、
凶悪犯に制裁を加えている時しか
感情を自分に連結できない鈴木の戸惑いが
ラストに描かれてます。
これは続きが気になる終わり方ですよ!
続編も出ているらしいので、
読んでみたいと思います。