メドゥサ、鏡をごらん (講談社ノベルス)/講談社
¥945
Amazon.co.jp

今週も一週間お疲れ様でした。

今週最後の本は井上夢人さん『メドゥサ、鏡をごらん』です。


井上さんといえば言わずと知れた岡嶋二人の一人、

しかし私がこれまでに読んだのは『ダレカガナカニイル…』だけでした。

岡嶋さんの作風からしてかっちりとしたパズラーっぽい

ザ☆論理みたいな話を書かれるかと思いきや意外や意外…。


これ読んでみたい!という方で

「本格!しかも最後にきっちり謎が解けるのが好き!」

という考えをお持ちの方は、たぶん読まないほうがいいです。

一方で、

「わけわからんでもいいんじゃい!手に汗握る話クレ!」

という方にはおすすめです。


井上さん。岡嶋二人の時も思っていましたが、

ひっじょうにリーダビリティが高い!

一度読者を虜にしたらつかんで離しません。

本作も「ね、寝かせて…」と思いながら先を読んだ人がきっと多いはず。

引き込むパワーに関しては相当の実力をお持ちです。


が、しかしです。本作。お読みの方はお気づきでしょうが、

謎が一個も解決しませんね…。

私はこういうホラーっぽいお話も好きなので、大丈夫ですが

「広げた風呂敷は畳まんかい!」という人もいたでしょう。


ではネタバレ感想いってみよ!

<メドゥサを見た>と書き残し、

自らをコンクリで固めて死んでいた作家、藤井陽造。

彼の残したメモ書きからその死の秘密に迫ろうとする

娘の菜名子とその婚約者の主人公。


次第に明かされる連続怪死事件と、

23年前に死んだ「メドゥサ」と呼ばれた少女、新庄あずさの過去。

そしてその死の連鎖は主人公をも巻き込んでいく…。


といった感じですね。

後半は時系列と人物がごっちゃになるのを楽しむのが

正しい読み方なのかな…と思います…。


私は本を読むときに300ページ以上の本は登場人物リストを作るんですが、

主人公の名前がないのにはちょっと引っかかっていました。

しかし力技で主人公=藤井陽造になったときは

ぽかん…としてしまいました。井上夢人やりおる…。


私の足りない脳みそではこの話にきちんとした説明を

加えることはできなかったので、時系列まとめだけでも作ってみました。


23年前 食中毒事件

その半年後 あずさ死亡


10/15 液体酸素事故

10/20 藤井、MSK猿渡さんと面会

10/21 高瀬の父死亡

10/31 高瀬自殺

11/2 藤井、高瀬に会いに行くも不在

11/3 再び高瀬を訪問するも不在


この間、藤井は高瀬の墓前で新庄夫妻に面会しているはず

その時に杉浦とも会っていた?(菜名子の受けた電話による推測)


1/2 杉浦自殺

4/6 自身に向けてメールを送る

4/18 『メドゥサを見た』のメモ

4/26 藤井死亡


4/30 奈名子と主人公(川松?)結婚の報告をするために韮崎へ

7/20 覚えのないルスデン、菜名子との意見くいちがう

7/21 菜名子 同僚とパーティ

7/22 MSK訪問

7/25 主人公石海へ、消防士や高瀬の母と面会

7/26 記憶の欠落

8/1  鵜飼と面会。この日菜名子とお父さんの話をしている。

8/3 金町へ。新庄の両親と面会

8/4 パソコンへ藤井のIDでアクセス。原稿を読む。ここから細字表記


こんな感じです。

それで、自身へあてたメールの中の小説には

7/31 片瀬光自殺

8/8 葛井正造、石海へ


実際に藤井が石海に行ったのは11/2。

このずれには何が意味があったのかしら?

これずれた分だけ主人公の行動もずらしてみたら

空白の7/26に何かあるのかと思ったけどそうでもなさそうだし…。


残された謎

・空白の26日はどうした?

・自分が首をつってる夢を見た、見ないはどうなった?

・新庄さんが金町から甲府へ移ったのはいつ?


ここら辺で考えること終了ー。

これはもう「呪い」でいいや。新庄あずささんの呪い!

それでみんな死んじゃったの!はい!もうそれでいい!


長々と書きましたが…私にはつかめなかった…。

誰か解説いして!エロい人!