ある閉ざされた雪の山荘で (講談社ノベルス)/講談社
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秋ですねー。今日はぶどう狩りに行ってきましたー。

おいおい、読書ブログとぶどう狩り関係ねーよ!

と思われるかもしれませんが、そうではないんです。

今日一緒に行った友達が遅刻魔でですね。

30分待たされるとかざらなわけですよ。ということで、

この本を携帯していきました。


東野圭吾さんは非常に読みやすい文体で

わかりやすく、簡潔に、しかしてドラマティックに話を進めていってくださいますね。

本当に大衆に優しい作家さんだなという感じがします。

今回は主要登場人物が7人いまして、

最初は誰が誰だかわかりませんが、徐々に性格がつかめてくると

楽しくなってきます。


今回はミステリの王道『クローズドサークル』ものへの大胆な挑戦ですね。

裏表紙にも「一度限りの大技、読者を直撃!」

という兵器のような物騒な宣伝文句がかかれてあります。


とある山荘に集められた男女7人の劇団員役者たちは、

そこで一人一人が殺されていく…という演技をさせられる。

本当に演技なのか?犯人がこんなことをさせる意図は?

設定が非常に特殊で、話の器にすでにトリックが仕掛けられている

という新しいタイプですね!本格への敬意を払いつつ新たな試みを!という感じでしょうか。


「ここで○○が首を絞められて殺されている」という紙なんかは

逆に簡潔すぎてぞっとしますし、読者は実際に彼らが「殺される」

場面を見せられているわけですからいやがおうにも盛り上がりますね。


結末には設定をもう一度ひっくり返してくれるんですが、

これはこれで「人が死なない本格もの」としてはありかなーと思います。

今まで「神の視点」だった地の文が

一登場人物の視点だったというのは工夫されてるなという感じでした。


非常に面白かったんですが、やっぱりなんだかあっさり終わってしまうというか…。

うまくまとめました!よくできました!で

毒にも薬にもならないとうか。やっぱり優等生のエンタメという感じ。

東野さんはもっとブラックな小説も書いてらっしゃるらしいので、そちらも読んでみようと思います。