- 『アリス・ミラー城』殺人事件 (講談社文庫)/講談社
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激しくネタバレ記事になりますんで、未読の方は注意!
この小説はまっさらな気持ちで挑んだほうが絶対に楽しめます!
あ、読むときは文章が修正されている文庫版をお勧めしますよ~。
(;゚д゚)ポカーン
読み終わった直後の私の顔はたぶんこんな感じ。
↓
アリスのフレンドとかいう記述があるのを思い出す。
おいおい、話の端にちょこっと出てきたモブを犯人にしてんじゃねぇよ!
↓
ぱらぱらと再読
ぎえええええ!お前ずっといたよかよおおおお!
こういう回りくどいステップを経て、ようやくこの小説の意味が分かったのでありました。
これは凄い叙述ですね!感想ブログなど拝見していると
筒井さんの某作品に似ているとの声がありましたが、
私は未読でしたので十分驚きましたよええ。もう十分に。
まず雰囲気がいいですね。クローズド・サークルものっていうんでしたっけ。
さらに『そして誰もいなくなった』を模して、数が減っていくチェス
奇妙なお屋敷、不気味な人形…
もうミステリファンのガジェットをこれでもか!と浴びせてきます。
物理トリックに定評のある作家さんらしく、
第一の殺人のトリックもなるほどなぁとうならされました。
しかしそのトリックにすら「探偵をおびき寄せる」という奇怪な目的があり、
何重にも張り巡らされた罠がしかけられています。
そして、最大のトリックである。叙述トリック。
叙述スキー(*´∀`*)な私としては大変驚かされましたよ。
叙述トリックといえば、「誰かを誰かと誤認させる」「実は別視点の供述でした」
ていう「人物を入れ替えるための叙述」が多いなーと思ってましたが、
これは凄いですね!一人増えちゃってますからね!
人形に錯覚させるあたりは綾辻行人さんの「びっくり館の殺人」みたいだなー
と思いました。感想ブログなど拝見してるとほかにもこの手の作品はあるようですね。
アリスという人物がいるにも関わらず、一度も探偵たちの推理に出てこないのはおかしい!
というもっともな反論も確かにありますが。それが許せちゃうくらい私は驚きました。
チェスの駒が白黒合わせて11あったのもちゃんと意味があったのですね!
叙述に関しては様々な解説が素敵なサイトにあると思いますので、
私は登場人物たちの回想を描いてみます。(勝手な配役リスト付きw)
窓端という特殊なお名前で気づきましたが、
登場人物さんたちは『不思議および鏡の国のアリス』の登場キャラの名をもじった
名前なんですね!某サイトに考察があったので合わせてご紹介。
■鷲羽(グリフォン:櫻井翔さんみたいなさわやかイメージ)
最初この人視点で話が進むので、この人が謎解き役かなー
と思っていたらまっさきに殺されてワロタw櫻井翔イメージで読んでたんですが
顔面ぐちゃぐちゃになってて悲しくなった…orz
なんやかんやで「実は生きてるんじゃないの?」と思わせられた
■観月(三月ウサギ:何故かコナンのメグレ警部みたいな風貌イメージ)
なにこいつ気にくわねー!と思ってましたが、
後半はなんだか許せてきた。ちゃんとトリックも解いてたし。
自分のこと名前で呼んじゃうあたりどこの萌え少女かと。
■古加持(小鹿?:佐々木蔵之介イメージ)
一番まともだとおもってたのに…最後らりっちゃったね…。
首つったふりとかしちゃうお茶目さん。
追い詰められて裏切りしちゃうあたり実は一番まとも?
■ない田(ダイナ:神木隆之介イメージ)
最後のチェス盤で、入瀬を守るためにナイトになるんだね…泣ける。
この子には生き残ってほしかったよ…幸せになってほしかったよ…。
■入瀬(アリスの一字ずらし:剛力なんとかさんイメージ)
この子の過去を知りたいよ…
この子とない田君の過去とか掘り下げてよ…。
■窓端(マッドハッター:イメージ浮かぶ前に殺されちゃった)
もっとできる子だと思ってたよ…?
■海上(ウミガメ:唐橋充)
物語を盛り上げるべくラリっちゃう人。
やっぱこういう人がいないとクローズド・サークルって緊迫感でないよね。
■山根(山鼠:米倉涼子)
姉さん近いっす。でも色気半端ないっす。
■堂戸(ドード鳥:この人もただのメイド服イメージだったな…)
一番一般的な思考の持ち主かも。ただただかわいそう。
■ルディ(トゥイードルディ・トゥイードルダム:シルビア・グラフ)
キャラが立っていていいね。
しかしあんた、なんでこんなゲーム開催しちゃったのさ?
■アリス(アリス:見た目を考えてる暇なんぞなかった)
殺人の動機が凄い。ありえない。究極のエコロジスト。
ミステリーを普段よく読んでいる人ほど楽しめるんじゃないでしょうか。
物理トリックの条件や酸性雨の話など、読み物としても十分面白い!
ミステリ薀蓄好きな人は絶対に楽しめる作品ですね。
あらっぽいし、アンフェアだ!という否定的な意見もありましたが、
私のようにさささーっと読んで楽しみたいという方には自信を持ってオススメ!