なぜだろう…なぜだかわからないけれど東野圭吾さんを敬遠してきた読書歴。
ミステリー好きだと自覚している人なら漏らさず読んでいるである作者さんなのに、
今まで拝読した著作は『容疑者Xの献身』と『秘密』くらいのものでした。
これじゃいかん!もっと王道を!ということで
ホラーテイストもあっておすすめされていたこちらの作品を読んでみました。
小学校以前の記憶がない女性と、その元恋人の主人公が
ある別荘で出生の秘密を解き明かしていくのが大まかなストーリー。
登場人物2人、場所はほとんど家の中。
それだけでよくもこれだけの話を広げられるものだ!と
東野圭吾さんという作家さんの手腕に恐れおののきました。
ドキドキハラハラするガジェットが随所に盛り込まれていて飽きさせません、
マリーセレスト号のように生活空間そのままに時が止まってしまったような部屋、
途中でいきなり終わっている日記、11時10分で止まっている時計、
地下室の十字架、あったはずなのに消失している部屋…。
すべての「?」に一つ一つちゃんと答えがあり、丁寧に丁寧に書かれています。
ストーリーテリングも非常に上手な作家さんだという印象を受けました。
とにかく人を怖がらせるのがうまい。
読んでいてストレスになるほど先が気になります(賛辞です)
ジョーズの効果音のように徐々に迫りくる真実におびえます。
根幹のネタとしては、主人公沙也加は実は火事で生き残った
御厨家の娘でしたというのがメインです。
あまり大きなドンデン!というわけではありませんが
小出しにちょこちょこと伏線回収→新たな展開があるので
飽きずに驚き続けられました。
『むかし僕が死んだ家』というタイトル、および主人公の名前が明かされないので
彼もこの一連の事件に関係しているのかと思ったのですが、
あまり関係なかったようです。そこは余計な期待をしすぎた私がいけませんでした…orz
すごくきっちりと、理路整然としたパズルに、
ミステリーらしいガジェットとハラハラを味わいたいかたには非常におすすめ。
全体的に派手さはありませんが、徹夜必至の良作です。