小松左京を読もう週間、ショートショート編でございます。
こちら全一巻の勁文社版ですね。
私の場合図書館にこれしかなかったのでこれを読んでますが、
文庫本で5冊くらいで分冊されて出ているうえにこちらには未収録のものが
収録されているそうなので、もしご購入を検討されるならば
文庫版を買うことを強くお勧めします。重いですしね…。
全部で192編もあったので全部に感想を書くことはできないのですが、
これだけ連続で読んでいるとだんだんパターンのようなものが見えてきます。
主人公→未知のものや事態を発見・遭遇→
宇宙人or過去、未来の地球人or幽霊or高度な機械だったYO!
っていうのがだいたいの基本形です。
でもそこはさすが御三家小松さん、
いろんな知識の引き出しを駆使して飽きさせずに読ませてくれます。
さらに、変格パターンとして
主人公→未知のものや事態を発見・遭遇→
地球人or現代人
というパターンもあります。つまり主人公が現代地球人ではなく
異星・異形のものまたは過去・未来のものっていう視点を変えたパターンですね。
人間のことを「目が二つあって、腕の先が5本に割れている奇妙な体つき」
って表現してあったりして非常に面白いです。
またこの全集はいろいろな雑誌に載せたものをまとめてあります
新聞社、SF雑誌、婦人雑誌、子供向け雑誌、電機会社広告etc…
それに合わせて作風がきちんと変えてあるのが小松左京という人の
作品の幅みたいなのを思わせます。
小松さんといえば現代人の影の部分や忘れてきた部分を滑稽に皮肉る
ニヒリストという(私の勝手な)イメージがありましたが、
人間の心に対する希望のようなものもきちんと持って、科学と接していきたい!
という暖かな一面もきちんと持ち合わせている作家さんなんだなと改めて思いました。
では最後に一つお気に入りの作品を紹介して終わりにします
『一生に一度の月』という作品です。
これはエッセイ風の作品で、SF作家と当時の科学技術のめまぐるしい進歩
の関係について、自嘲も交えながら楽しく書いています。
アポロ宇宙船が月に着陸するところをSF作家仲間できちんと見届けようぜ!
って意気込んだにも関わらずみんなで麻雀してたらおわっちったよ!
っていうところが何とも人間臭くていいです。
小松さんなりの人間賛歌なのかなーと思いました。
星新一さんや平井和正さんといった作家さんと
わちゃわちゃ遊んでる小松さんwwおまいら仲良いな!
同じようなパターンが続く部分もありますが、
どれもこれも斬新なアイデアです。
寝る前に数編ずつ読むことをお勧めします。