最近は、通勤時間に図書館で借りた本を読んでいるわけですよ。
図書館で借りた本だからもちろんブックカバーなんてしてないわけです。
今回ばかりは…今回ばかりは表紙を人に見られてはいけないタイトルな気がします…。
さて、小林先生の短編集です。もうね、一気読み確実ですよ。
懐かしい顔ぶれもいたりして、ではでは、ネタバレ感想行ってみよ!
①肉食屋敷
小林先生版ジュラシックパーク!
恐竜が一気に絶滅した地層からDNA取り出して復活させたら
間違えて化石についてた地球外生命体復活しちゃったYO!っていうお話。
今ちょうどDNA関連のお仕事をしているので興味深く拝読しました。
小林先生って(独断と偏見なのは多分に承知ですが)手あかのついた題材を
「ふっ、まだまだこんなにおいしく料理できるぜ!」って新しい料理を作ってくれるコックさんみたいです。
恐竜復活ものも、地球外生命体ものも出尽くされた感はあるでしょうに
その筆致と表現力でこんなにも気持ち悪く仕上げられるなんて!
家の描写が非常にいいですね。館独特の気味悪さというか、
建物の持つ嫌な包容力、出られないんじゃないかっていう恐怖がじわじわ来ます。
しがない公務員が必死に逃げ、ドラム缶に火をつけるところは非常にスピーディ。
「畜生。いったい、いつの間に入れ替わりやがったんだよう。」
のんきだなお前!!でもこのちょっと引いてみてる感じが好き。
②ジャンク
作者さん曰く「ゾンビウェスタンもの」だとか。
なんかTSUTAYAのホラーの棚の端っこにありそうですね。「ゾンビーウェスタン」
ああいうのって誰が借りてるんだろう。需要があるからあんなC級映画がわいてくるんだよね。
え?もちろん大好きですけどね。C級映画。
この話の世界観も非常に面白いですね!
高度な機械はないのに人間の脳をCPUにしたり、目をレンズにしたり、
臓器移植もパパっとやっちゃう。文明が違う方向に発展していった結果って感じなのか?
人造馬の内臓描写がグロいけど痛くないんだったら別にいいや。
主人公は恋人をハンター(山賊みたいなもの?)に殺され、
その復讐のために旅をしている。
オチは「なるほど!」と思います。設定がきちんと生きている。
ほの甘い恋愛要素をいれてくるあたり、小林先生ぬかりないですな。
③妻への三通の手紙
最初読んだときは時系列がわからなくて「??」となっていましたが、
「今までに二通の手紙を書いていたらしいが内容は忘れた」っていう言葉で
ようやく意味が分かりました。現実の時間は3→2→1で流れているのですな。
オチが読めた人は読めたらしいし、その布石もわかりやすいと思われます。
幸不幸を決めるのはその人間の思いなしなのだ!っていうのは確かに正解だと思う。
これは一見ホラーだけれど、見る人が見たら純愛なのだよ!
④獣の記憶
二重人格ものも確かに作者さんの言うとおり使わい古された感がありますが、
これも新しい味付けで十分に楽しませてくれました。
自分の中のもう一人の自分が自分の知らないところで殺人を犯している…!?
犯人と対峙していく中で、もしかしたら自分こそが副人格で、
犯人こそが主人格っていう、世にも不思議な物語でいうところの「クローン」みたいな
オチなのかな?と思っていたけれど、そこは小林さん
きちんと現実的に落とし前をつけてくれます。
ただ犯人に関しては…「お前かよ!」ってなります。
余談ですが、『密室・殺人』に出てきた西中島さんがちょっと出てきてくれてます。
ということは取り調べをした警部さんって谷丸さん?
以上の4編でした。もう電車の中で一気読み!
クレ!小林分(糖分みたいなもの)をもっとクレ!
オチが読めたという声もちらほらありましたが、
私には十分面白かったし、ぞっとする肉塊や汁気の描写に飢えている人は
是非とも手に取って読んでみてください。