覚書
①完全・犯罪
タイムマシン理論を一足先にライバルに発表されてしまった時空惑雄博士がライバルに復習しに行く話。
話のキモとしては「過去は変えられない、未来は変えられる」ということ。
つまりは、別の経験をして時間を経た自分はもはや自分ではない他人だから、
結局自分の人生は変えられないよというお話。
わらわらと博士がいっぱい湧いてくる描写とかは面白かった。コメディチック。
②ロイス殺し
幼い時に好きだった人を殺された主人公、クロスがその犯人ロイスに復習するというお話。
ミステリーチック?
ロイスに首つりの賭け事を持ちかけて、ざっくりいうと相手が助かれば自分にお金が入るようにし、相手が死ねば相手に金が入るようにする。そうすれば買っても負けても自分の勝ちー!という復習譚。
魔女云々は解明されないままもやっと終わったんだけど…雰囲気作りだとしてもこの辺ははっきりさせてほしかった…。
③双生児
幼いころに名前を混同されていたと思っていた双子の片割れ。
だけどそれは名前を混同していたのではなく、二つの肉体を二つの精神が行き来していたのだった。
それを利用して姉を殺そうとした妹、しかし死んでもなお魂のみとなって生き続ける姉は
妹の肉体に入り込むが…。
④隠れ鬼
幼いころの記憶と、現在の不可解な状況を結び付けて考えると…という恐怖譚。
子供の残酷性、不条理性、それを受け入れるしかない弱い立場に立たされた子供の悲哀…
なんんかがうまく表現されていたと思う。こういう人間の嫌ーな部分書かせたらこの人は絶品。
⑤ドッキリチューブ
坂口憲二主演で世にも奇妙な…でドラマ化されたこともあるらしい。
人権を完全無視したドッキリ番組を制作していた社長が、
恨みをもった社員に復習されるというお話。
ドッキリというものはどこまで許されるのか?どこまで笑っていいのか?笑えるのか?
どうでもいいけどこの話、バナナマンのドッキリというネタに似てるw家に放火するくだりとか
誰か気づいた人いないかしら?
「死んじゃうけどドッキリだしいいよね!」というぶっとんでる発言が面白い。
総じて、決してつまらなくはないんだけれど、小林氏にはもっと綿密な話を期待してた。
ほらほら、雰囲気楽しめよ?謎だろ?不思議だろ?みたいなものはあまり求めていなかったのに。
誰かがブログで書いてたけど『完全・犯罪』は『酔歩する男』の焼き直しっぽいし…うぬぬ。
でもある一定以上の楽しみは保障してくれる数少ない作家さんです。次回作も楽しみ。