ジュディ・パドニッツの短編「Flight-飛ぶ-」 | あぁ、タイトルをつけ忘れ・・・笑*

ジュディ・パドニッツの短編「Flight-飛ぶ-」



最後の一文を引用します。


本当に怖いのは、流れ星のように弧を描いて地面に向って落ちていきながら下を見て、そこに誰も自分を受け止めてくれる人がいないと知った時の、その裏切られたような気持ちなのだ。




いわゆる、平たくいうと
飛び降り自殺をする女性がかかれているのですが

ジュディ独特の、冷たい血がとくとく音を立てて流れるような、不気味な感じ。

とても不思議。
彼女はなんでこんな物語が語れるのだろう。。。

自殺をはかる女は、
昔の飛ぶ女たちにくらべ
現代の飛ぶ女たちはとても飛び辛く
なんでこんな世の中になってしまったの?と憤りを感じている。

とても、彼女の主張は極端ですが、
なんだか納得してしまう。

昔の男は紳士だったので、飛ぶ女をみあげたりはしなかったけど、
今はみんなで見上げて、マナーなんてどこにもない。
だいいち、飛び降りるだけのスペースがない。

などなど、
自殺をしようとする女は色々と飛び降り自殺についての考えをのべる。

カモメが彼女を呼ぶ。


とても理不尽かもしれない。


彼女は、飛び降りてしまいたい。
母親や叔母さんのように。

でも、せっかちな飛び降りはいやだと思っている。
昔の女たちのように、綺麗な服をきて、崖の上から飛び、美しく海の底へ…
愛する恋人は、女を追って飛び降りる…。

彼女はそんな飛び方がしたい。
でも、現代の世の中ではそんな飛び方はできない…


息子が泣いている。


あるとき旦那がいう、
飛び降りをする人たちは、ほとんどが地面に着く前に心臓発作で死んでしまう。
落ちるのが怖くて、ではなく、地面に着くのが怖くて。

それで女は、旦那になにが分かるのだろうと、思う。


そしてマンションの屋上にあがり、
柵をこえて、
最後の一文

本当に怖いのは、流れ星のように弧を描いて地面に向かって落ちていきながら下を見て、そこに誰も自分を受け止めてくれる人がいないと知った時の、その裏切られたような気持ちなのだ。


とても理不尽かもしれない。

裏切られたような気持ち

でも、よく分かる。

誰かがこの気持ちを分かってくれるだろう、
苦しみを、寂しさを分かち合う人がいるだろうと思っている。

心の底では。
飛び下りて死ぬことが目的じゃないのか。
その女は、探しているだけ。


期待と裏切りはセットだ。


理不尽かもしれない。

でも、そんな感覚になってしまう。
裏切られたような気持ち
なんとなくだけど、私にはよく分かる。





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