cicada
蝉が死んでいた
昨日私が助けた 蝉が
ひっくり返って
動かなくなってた
そういえば昨日
蝉は飛ばなかった 蝉は
前足を引きずって
歩けずにいた
道の真中で
のそのそ足を動かして
可哀そうだと
私のなかの坊やが言った
ラブソングを買った
帰り道で
命を救ったつもりで歌った
ほんとは知ってた
飛べない蝉 蝉は
このまま死んでいくこと
赤い時は止まり
青い時は進む
点滅したら諦めて
立っていることが増えたけど
それがいいことかは知らない
蝉が死んでいた
それなりにショックで
蝉を ちゃんと見れなかった
さようなら
信号で止まって
また歩き出して 蛹が
私の前を横切った
こんにちは
道の真中で
立ち止まった私の中の坊や
それを無視する私
洋服を買った
帰り道で
ウキウキしてる自分がいた
思い出した
今日も私 私は
失敗したんだ
赤い時は充電切れ
青い時は呼び出し
点滅してるのに気づいても
反応しないこと増えたけど
それがどういうことかわからない
そうやって夏を
だらだら過ごす
早く終われ 早く終われって
ひとつ死んで
ひとつ生まれる
早く終われ 早く終われ
暗くなってから
動き始める
早く終われ 早く終われって
いつもいつも
泣きたいけどね
夏の切ないのは
少し違うの
みんなもそう
夏の切ないのは
少し違うの
坊やは
まだ行かないで 行かないで
だけど私はそれを無視して
早く終われ 早く終われ
早く終われ 早く終われって