
パオロ・ユニェッティ著 関口英子訳
スマホ捨てて山にいく
30歳になった僕は何もかもが枯渇してしまい、アルプスの山小屋に籠った。都市での属性を解き放ち、生きもの達の気配を知り、五感が研ぎ澄まされていく――。世界的ベストセラー『帰れない山』の著者が、原点となった山小屋での生活と四季の美を綴る。コロナ時代に先駆け二拠点生活を実践してきた著者の、思索に満ちた体験録。
ある日、セーターを重ね着して水筒にワインを入れ、寝袋を持って外で野宿することにした。気弱になっている自分へのショック療法だった。
その夜、近くの牧草地で野宿する。あたりが真っ暗になっていくなかで持って出た僅かな腸詰などをかじり、ワインを飲み、遠いむかし父と行った山の記憶にひたる。山道の遠くにオルガンが鳴っていた記憶だ。その小さな野宿旅では帰りにキツネと出会う。
六月になると牛飼いが牛や牧牛犬たちと山にやってきた。いちめんにタンポポの花がひろがっている季節だ。
三匹の牧牛犬にはブラック、ビリー、ランポと名前がついていて、作家は彼らと仲良くなる。ブラックは「ちぎれ耳」と別の名前をつけた。
ちぎれ耳は毎日七時になるとビスケットをもらいにやってくる。それぞれ個性ゆたかでなによりも牧牛犬としての働きぶりがすばらしい。この三頭の犬との交友が楽しい。その主人、牛飼いのガブリエーレとのつきあいがはじまり、山小屋の生活もけっこう忙しくなる。賑やかな交流は夏へと続いていき、「音や色やにおいという暴力」という一節の本意がつかめず、読む者には新たな不安となる。
六月になると牛飼いが牛や牧牛犬たちと山にやってきた。いちめんにタンポポの花がひろがっている季節だ。
三匹の牧牛犬にはブラック、ビリー、ランポと名前がついていて、作家は彼らと仲良くなる。ブラックは「ちぎれ耳」と別の名前をつけた。
ちぎれ耳は毎日七時になるとビスケットをもらいにやってくる。それぞれ個性ゆたかでなによりも牧牛犬としての働きぶりがすばらしい。この三頭の犬との交友が楽しい。その主人、牛飼いのガブリエーレとのつきあいがはじまり、山小屋の生活もけっこう忙しくなる。賑やかな交流は夏へと続いていき、「音や色やにおいという暴力」という一節の本意がつかめず、読む者には新たな不安となる。
山小屋の一人暮らしは素の自分が自然とどう対峙するか人それぞれですね。