『マハラジャの葬列』 インドが舞台の英国人とインド人の名刑事コンビが活躍する傑作歴史ミステリ | ・・・   旅と映画とB級グルメ と ちょっと本 のブログ

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アビール・ムカジー (著), 田村 義進 (翻訳)

 

第2作のときは第1作の翌年、1920年の6月。イギリスの植民地インドの首都カルカッタにある政府庁舎には、マハラジャやニザームなどの称号を持つ“藩王”20人が集まっていた。現地住民の自治を求める声を鎮めるための植民地政府の政策で、“藩王院”なる合議体を立ち上げる会合が行われる。藩王国サンバルプールのアディール王太子はその協議の成否を握るキーマンだ。王太子とイギリスのハロー校で同窓だったインド帝国警察のパネルジー部長刑事もその場に呼ばれていた。そして警視総監から王太子とパネルジーが交わす会話に耳をそばだてるようウィンダム警部も同席を命じられていた。

 

 その後、アディール王太子は暗殺され、ウィンダムは住民の通報もあって犯人を追いつめるが、目前で自殺されてしまう。ウィンダムとパネルジーは王太子の葬儀への参列と事件の真相を追ってサンバルプールに赴くが、王宮での捜査はなかなか進まない。

 

 当時の英国植民地統治と藩王国の存在等のインドの政治・社会構造や王宮の慣習、風俗などがたいへん興味深い。マハラジャがとんでもないお金持ちというのは有名な話だが、この物語に出てくるサンバルプールは領地内にダイヤモンド鉱床を持ち、王家の一族は栄耀栄華をほしいままにしている。100人以上の側室が住まう後宮もあるのだ。日本では鷹狩り、イギリスではキツネ狩りなど、どこの国も上流階級はなんとか狩りを趣味としているが、ここでは象に乗って虎を追い込む大がかりな狩りの様子、優雅な遊びが描かれていて、これがなかなかの迫力。

 

 

 魑魅魍魎が跋扈するような王宮の中で、事件の真相における謎は深く、怪しげな人物も次々に現れ、ウィンダム警部とパネルジー部長刑事が悪戦苦闘するさまが面白い。物語としては、王宮の複雑な人間模様はよく整理され読みやすく仕立てられている。サスペンスもそこそこ、インドのエキゾチックで神秘的なムードも楽しい、娯楽性の高いミステリーだ。

コルカタの駅 ここから夜行列車で向かう 
オリッサ州には旅ででかけました。
オリッサの土着の神様 小説の中に出てくる