2017年に読んだ小説ベスト10 | ・・・   旅と映画とB級グルメ と ちょっと本 のブログ

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2017年に読んだ小説ベスト10

カルミネ・アバーテ 著 関口英子 訳
ティレニア海とイオニア海を見下ろす場所に、かつて存在した《いちじくの館》。焼失したこの宿の再建を目指す祖父と孫を中心とする数世代にわたる旅は、時に交差し、時に分かれて、荒々しくも美しい軌跡を描いてゆく――。豊饒なイメージと響き渡るポリフォニー。イタリアの注目作家による、土地に深く根差した強靱な物語。
『運命と復讐』

ローレン・グロフ 著 光野 多惠子 訳
電撃的な出会いで結婚した、売れない俳優ロットと美貌のマチルド。純真な妻に支えられた夫はやがて脚本家として成功し、それは幸せに満ちた人生のはずだった――妻のいまわしき秘密を知るまでは。家族の愛は夫婦の嘘に勝てるのか? 巧みなプロットと古典劇の文学性を併せ持ち、全米図書賞候補にもなった圧巻の大河恋愛小説!
『階段を下りる女』

ベルンハルト・シュリンク 著、松永美穂 訳
旅先の美術館で突然再会した一枚の絵。一糸まとわぬ姿で軽やかに階段を下りてくるのは、忽然と姿をくらませた謎の女。40年の時を経て、ほろ苦い記憶が甦る。あの日、もし一緒に逃げることができたならば――。その想いを、物語にして伝える時がやってきた。人生の終局の煌めきを美しく描く、ベストセラー作家の新境地。
『天国の南』著者ジム・トンプスン 著 小林宏明 訳
プロレタリアン、トンプスンを今こそ――ノワールの極点というトンプスン小説の性格を誕生させた、そもそもの原点はどこに求めればいいのか? ……ホーボー(渡り労働者)として、21歳のトンプスンが体験した、もっとも過酷な労働の現場に赴いて、その過酷を追体験せよ。 ……『天国の南』は〈過去〉の過酷ではない。まさに〈現在〉の過酷なのだ、わが国同様に。われわれを取り巻く状況はまさに〈天国の南〉に他ならない
『クリミア発女性専用寝台列車』


高橋ブランカ著

 文学の領域を拡張する新しい才能する 
フェミニズムについて、言葉遣いについて、 忙しすぎる女性について、ご近所間の気遣いについて……現代女性にとって身近なテーマの核心を掴み取り、 豊かな日本語の表現力で淀みなく描き尽くす鮮やかな6篇。小説も書けば、演技もするし、芸術的な写真も撮るという多才なアーティストであるセルビアの個性を発揮する。高橋ブランカ著
『北海タイムス物語』

 増田俊也著
全国紙の採用試験に落ち、北海道の地方紙に入社した記者志望の野々村。破格の低賃金、驚異の長時間労働、超個性的な同僚たち……しかし、新たな世界での出会いが彼を変えていく。『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』『七帝柔道記』の著者が、休刊した伝説の新聞社を舞台に仕事人たちの魂のぶつかり合いを描く、お仕事小説の新たなる金字塔。
『至福の烙印』

クラウス・メルツ 著 松下 たえ子 訳
スイスの片田舎に暮らす人々のささやかな日常を、詩的かつ圧縮された表現で描き出す。現代スイスを代表する作家による珠玉の三篇、本邦初訳。ヘルマン・ヘッセ賞、スイス・シラー財団賞受賞作を収録。「それはぼくたちの腿やくるぶしのあたりを飾った至福の烙印だった。ヴィノンのチーズ工場の裏手の長いカーブでもはや遠心力に抗えなくなったとき、ぼくたちの剥き出しの肉が熱くなった排気管に押しつけられてできたものだ。  家に帰ると至福は痛みに変わり、傷は焼けつくようだった。バターを塗ってもらうと、そんな荒っぽい乗り物にはもう絶対に乗るなと言われた。」(「ヤーコプは眠っている」より)
『ちいさい国で』

ガエル・ファイユ 著 加藤 かおり 訳
90年代初頭にブルンジ共和国で生まれたガブリエルは、家族と幸せな日々を送っていた。しかし隣国ルワンダの民族対立が深刻化すると、平穏な生活は音を立てて崩れていくのだった――フランスで活躍する現役ラッパーが自らの過酷な生い立ちをもとに書いた感動作アフリカのブルンジという小さな国で生まれたギャビー。物語が進むに連れて彼の心の中は、変化していく。処女作ということだが、才能のある作家なのだろう。物語の中に引き込まれた。だが、後半の痛ましさが辛くて、読んでいる途中で、この本と同名の歌 (Petit Pays) が流れ、ブルンジの美しい風景が映る動画をネットで見てしまった。これは失敗で、かえって後半の悲惨さが増しただけだった。

『五月の雪』

クセニヤ・メルニク 著 小川高義 訳距離をもち輪郭鮮やかに描く過去
 ロシア人の女性作家クセニヤ・メルニク(一九八三年生まれ)の短編集。ロシア極東部のマガダンに生まれ育ったメルニクは、一九九八年、十五歳の時に家族とともにアメリカのアラスカ州に移住した。ニューヨークの大学で社会学等を学んだ後、教職につきながら創作をつづけ、現在はロサンゼルスに住む。なお、作品は英語で書かれている。
 メルニクの故郷マガダンは、スターリン時代に強制収容所のあったところだが、大勢の芸術家が流刑されてい…
『林檎の木から、遠くはなれて』

シュヴァリエ,トレイシー 著 野沢 佳織 訳
1850年代アメリカ。夢を求めて西へ西ヘ旅する青年と、林檎の木。ゴールドラッシュに沸くアメリカ。夢を求めて旅する青年と、故郷に根付く林檎の木。曲がりくねった枝のように、別れてはまた再び出会う…果樹園に芽吹いた、家族の再生の物語。開拓時代、人と樹木の旅 十九世紀のアメリカ開拓時代、新天地を求めてオハイオ州のブラックスワンプという沼地に居を定めた一家があった。ジェイムズとサディのグッディナフ夫妻とその子どもたちである。苦労して開墾した土地にリンゴの木を植え果樹園を営む一家だが、厳しい環境下で重なる疲労と孤独からジェイムズの神経は荒(すさ)み、妻のサディはリンゴ酒に溺れ、夫婦仲は年々悪化するばかり。そんな中、ある事件をきっかけに一家の末息子のロバートは果樹園を飛び出し、西へ向かって終わりのない旅に出ることになる――。
『ふたつの海のあいだで』『五月の雪』『林檎の木から、遠くはなれて』特に面白かった。次の作品が楽しみな作家です。