『空から降ってきた男──アフリカ「奴隷社会」の悲劇』を読んで | ・・・   旅と映画とB級グルメ と ちょっと本 のブログ

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『 空から降ってきた男──アフリカ「奴隷社会」の悲劇』
小倉孝保(著)


「ロンドンのオフィスビルの屋上で頭のない死体が発見される。1400フィート(427メートル)の高さから落ちてきて、エアコンの室外機に激突、バラバラに!」
種明かしをすると、ビルの上空はロンドン・ヒースロー空港への着陸ルートとなっており、ちょうどこの辺りを通過するタイミングで、主脚を納めた旅客機下部の格納庫が開くのだ。死体は密航を試みた29歳のモザンビーク人青年のものだったという。南アフリカ・ヨハネスブルクの空港でロンドン行きの英国航空機に忍び込んだものの、寒さと疲労のために意識を失い、落下したものとみられる。
実は、同じ飛行機でもう一人モザンビーク人が密航していたのだが、その人物は意識不明の重体に陥りながらも、一命を取り留め、健康を回復した後に行方をくらませたというから驚かされる。世界最高峰のエベレストを超える上空10000メートルという高度では、空気が薄く呼吸することも困難な上、温度はマイナス60度まで下がることもあるという。そんな極限状態に長時間、身を置きながら生還を果たしたというのは、まさに“奇跡”のようにも思える。
しかし、こんなデータもある。
2012年に英国BBC放送が伝えたところによると、「1947年以降、旅客機の主脚格納部に潜んで不法入国をしようとしたケースは、アメリカ連邦航空局(FAA)が把握しているだけでも全世界で96人、亡くなったのはそのうち73人」──。
彼らはなぜそこまでして密航を企てるのだろうか。『空から降ってきた男──アフリカ「奴隷社会」の悲劇』(新潮社刊)の著者小倉孝保氏はその理由をこう語る。
「たとえば、アフリカ・モザンビークの田舎で農業や漁業をしていては収入は不安定で、微々たるものです。それが首都マプトに出ると、収入は月50ドルになり、隣国の南アフリカでは週50ドルに増える。ロンドンをはじめとする欧州の大都市では50ドルは日給にもならないでしょう。ロンドンのレストランで働けば、たった1日でマプトでの月給分を稼ぐことができるのです。
アフリカの人々はヨーロッパの豊かさを知っています。アフリカでは今、どんな小さな村でも英国のサッカー・プレミアリーグを観ている。プレミアで活躍する選手にはアフリカ出身者が多い。電気の届いていない村でさえ、衛星放送受信用のパラボラアンテナがある。そして、バッテリーで衛星テレビを観る。そのテレビを観ていると、大企業のCMを通じて、先進国の生活に触れることができる。アフリカ人にとって、欧州はすぐそこにある。そして、その欧州はいつも明るく輝いているんです」
小倉氏は同書の中で2012年9月にロンドン郊外の住宅地に「降ってきた男」の身元を辿り、アフリカ社会の現状につきあたる事になる。そして、弱肉強食の「新自由主義」に蹂躙され、想像を絶する格差が広がるアフリカから抜け出そうとした一人の青年の悲劇的なストーリーが浮かび上がってくる。人が空から降ってくる理由、それがまさか「格差」だったとは、いやはや。
降ってきた男が働いてた場所は南アフリカのケープタウンのカメルー人の大富豪の家、そこでは家の中の仕事は女性が担当し、男性の使用人はカメルーン人が運転手、庭の手入れはジンバブエ人やモザンビーク人、洗濯はソレトからの移民担当。それらはすべて不法移民です。
モザンビーク人のジョゼ・マタダは南アフリカのケープタウンのアフリカの資産家の豪邸で使用人として庭の手入れの仕事していた。ご主人のカメルーの男性の奥さんはスイス生まれの白人女性のイスラム教徒ジェシカに声をかけられる。
そして、恋に落ちた、二人は駆け落ちをするが、
マタダは、出生証明書も持っていないために。モザンビイークのパスポートさえとることができない。
ジェシカは持ち金を使いパスポートを調達するために役人に掛け合うが騙されて、有り金はなくなり、ジェシカだけがヨーロッパに向かった。
やがて、残されたマタダは・・・・・・・。
アフリカの問題が、教育問題、産業がない、部族社会でコネ社会、賄賂社会。独裁国家の他民族社会。
アフリカ旅行で電気のない、タンザニアの奥地でさえ、スマホか使用されていて世界にネットでつながっていたのでした。
アフリカについて考えさせてくれる本でした。