渋谷のPARCO劇場で三谷幸喜さんの『笑の大学』を観てきました。
良いお芝居でした。
戦時中だからこそ喜劇を上演したい劇団「笑の大学」の座付き作家(瀬戸康史さん)と、非常事態に喜劇など許さないと断じる警視庁保安課検閲係(内野聖陽さん)の二人が、取調室で繰り広げる丁々発止の会話劇です。
いっぱい笑ったし、最後に、ちょっと胸がつまりました…。
『笑の大学』は、1994年にNHK-FMのラジオドラマとして初演された脚本なんです。
そのときは検閲係が三宅裕司さん、座付き作家が坂東八十助さん(亡くなられた十代目坂東三津五郎さん)だったそうです。
その時、聴きたかった…。
舞台初演は1996年で、検閲係は西村雅彦さん、座付き作家は近藤芳正さんです。
さらに2004年には、役所広司さんと稲垣吾郎さんで映画化もされました。
そして、海外でも上演されているんですよ。
日本人による海外公演じゃなくて、ロシア語版、フランス語版、英語版、韓国語版などなど、海外の劇団による上演です。
「お国のために」を「芸者のお国ちゃんのため」、「すき焼きのお肉のため」、「甘栗」、「あくび…」と巧みに笑いにすり替える場面があるのですが、日本語だからこその言葉遊びを、それぞれの言語でどう表現したのでしょう? そこだけ観てみたい…。
ラストシーンで、召集令を受けた喜劇作家に検閲係が言います「もう面白いことは考えるな、戦場では一瞬の隙が命取りになる」と…。
どんなに辛いときでも「笑い」が人の心を救うと主張する喜劇作家への、これが検閲係の「生きるためのアドバイス」なのです。
25年ぶりの再演です。
疫病、戦争、天変地異、なんだか不安な時代に…。