東京芸術劇場です。
暑いし、新型コロナウイルス感染者は減りそうもないけど、家にばかりいては世間知らずになってしまいます。
なので、NODA-MAPの『Q : A Night At The Kabuki』を観てきました。
地下の小劇場、シアターイーストの『気づかいルーシー』 は公演中止です。
さて、NODA-MAPです。
私、15年くらい前までは、新作は必ず観ていました。夢の遊眠社からNODA-MAPとなってからもね♪
それが、2007年の『キル』の辺りで、役者さんたちの早口のセリフについていけなくなってる自分(何を言ってるのかワカラナ~イ)に気付き、もう卒業だわ…と観るのを止めたのです。
でね、去年の6月30日♪ 久しぶりに『フェイクスピア』を観ました。面白かった! 高橋一生さん、そんなに早口じゃなかったし…。
野田秀樹の戯曲には、セリフがきちんと客席まで届く役者さんが必要なのです。
ただもうテンポよく喋るだけでは、言葉の意味(あるいは意味のないこと)を伝えられないのです。
何を言ってるのかワカラナイのは、私が年取ったからじゃな~い!
…でね、『Q』でも、次から次へと言葉遊びが繰り広げられます。
「死骸は見つけられずに、生き甲斐が見つかった」が、私的にはベスト1ですね、
ほかにもSNS炎上に「匿名希望の名を捨テロリスト」、マザー・テルサが「人類は男と女がまざってーるさ」などなど、ダジャレの応酬と思わせて、巧みにシェクスピアの台詞も混ぜてあるし、歌舞伎の台詞もありましたよ。
そして白で統一された舞台に、「…という手紙は届かなかった」と、松たか子さんの澄んだ声が響き、行く宛を失った紙飛行機が彷徨う静かな衝撃…。
ジュリエットがロミオに懇願する「名前を捨てて」に始まって、源平合戦での名乗りを上げる戦いから、現代のSNSでの匿名の戦い、名もない一兵卒のシベリア抑留と、お芝居は時空間をあっちこっちに飛びます。
やがて、やり直したとしても、やっぱり同じことになってしまう、過ちは繰り返さないと誓っても、戦争はなくならないと、重いテーマが浮かび上がってきます。
名もなく散った命にも、愛の日々はあった…。
野田秀樹の戯曲は面白い♪