●フィリピンの対中輸出が大幅減
フィリピン国家統計局によると、中国への8月の輸出額は約3億7000万ドル(約292億円)と前年同月比で42%も減った。
フィリピンと中国は南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権をめぐって対立。
中国はフィリピン産バナナの検疫を強めて輸出を減らすなどの圧力をかけている。
(日本経済新聞 2012/10/18)
●バナナ 日本の店頭価格が下落
南シナ海・南沙諸島の領有権をめぐり対立を深める中国が、フィリピン産バナナに事実上の輸入制限措置を発動。行き場を失ったバナナが日本に流れ込んで市況を押し下げている。バナナの価格は1年前と比べて1割以上下がり、過去10年でも最安値圏にある。
中国は今年5月ごろからフィリピン産バナナの検疫を大幅に強化し事実上の輸入制限に踏み切った。大消費地を失ったフィリピンは、日本や中東へ輸出を振り向けている。
日本に輸入されるバナナの9割以上を占めるフィリピン産の動向が市場に与える影響は大きい。財務省の貿易統計によると、今年5~9月のバナナの輸入量は46万トン。前年同期より2万5000トン増えたが、増えた分のほぼ全量がフィリピン産とみられる。
総務省小売物価統計によると、昨年10月に1キロ225円だったバナナの価格(東京都区部平均)は、中国が検疫を強化した6月以降、200円程度に下落。例年需要が高まり価格が上がる傾向にある8月から9月上旬にかけて210円程度まで回復したが、再び下落に転じ、10月上旬には192円まで値下がりした。
小売業者によると、気温が下がるとバナナが熟成しにくく甘さが少なくなるといい、秋から冬にかけては値段が上がりづらい傾向にある。バナナの安値傾向は当面続きそうだ。
(毎日新聞 2012/11/4)
●中国がフィリピン南沙諸島を侵略
2012年5月には中国海軍の艦船が、フィリピンが領有権を主張するパラワン島沖のイロコイ礁近くで建築資材を降ろし、ブイや杭を設置する行動に出るなど、「一触即発」の状況だ。
(J-CASTニュース 2012/11/4)
●外交舞台で経済力を振るう中国
2011年春、南シナ海スカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺海域での中国漁船違法操業問題で、フィリピン軍艦と中国巡視船が海上で対峙した。中国は翌週に行われた米国・フィリピン軍事訓練に不満を表した。
2012年5月、中国はフィリピン産果物の輸入を封鎖した。表向きの理由は「フィリピンから輸入したバナナとパイナップルから害虫が発見された」ということだった。バナナはフィリピンで貿易規模が2番目に大きい農産物だ。問題は、精密検査を受けるフィリピン産果物がマンゴー・パパイヤ・ココナッツと増え、ほとんどすべてのフィリピン産農産物に拡大した。これは北京が送る報復のメッセージであることは明らかだ。
●ノルウェー産サケの輸入中止
2010年12月にノルウェー・ノーベル委員会は中国の反体制活動家の劉暁波氏をノーベル平和賞受賞者に選んだ。これに怒った中国政府はノーベル委員会に再考を要請した。しかしノーベル委員会はこれを受け入れるどころか、授賞式を操り上げて開催し、「空いた椅子」を劉暁波氏のために残した。
中国はノルウェー産サケの輸入を中止し、進行中だった自由貿易交渉の中断を通知した。ノルウェーは数年間、魚類の輸出で利益を得ていた。特に魚類需要が50%も増えた中国で大きな利益を出していた。中国の輸入中断措置でノルウェー産サケの販売は62%も減少し、中国は元ノルウェー首相の訪問ビザ発給も拒否した。
●中国は目標とする国を屈服させ、その国の政策を変えさせるため、経済関係を直接的に利用する。
●中国は経済的相互依存を武器として他国に自国の意を強要している。
(中央日報 2012/10/31)