死者の額に付ける三角の布は天冠ではなく角帽子と呼ぶべきではなかろうか? | アジアのお坊さん 番外編

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死に装束の内、額に付ける三角の布を「角帽子(すんぼうし・すみぼうし)と言うのだが、これをインターネットで検索すると、「天冠」としているサイトが多い。

 

ただ、検索のトップに大量に出て来るのはほぼすべて葬儀屋さんや家族葬などのサイトであり、「天冠」に関する文章も、ほとんどすべてコピーかと思しき全く同じ文章なので、誰かの説が蔓延してまかり通っているのだろうかと思う。

 

ところで、桂米朝師の「地獄八景亡者戯」の冒頭には亡者の額の三角の布(きれ)として「角帽子(すんぼうし)」という言葉が出て来るし、「天台常用法儀集」の葬儀の箇所には「角帽子」とあって振り仮名はなく、「元これ国風。想え、菩薩の宝冠なりと」と説明がある。

 

「佛教語大辞典」には「角帽子(すみぼうし)」という項目があって、「天冠」という項目がない。「大辞林」には「角帽子(すみぼうし)」「角頭巾(すみずきん)」という2つの項目があって、やはり「天冠」という項目自体がない。

 

推して知るべしではなかろうかと思うのだが、皆さまのご意見並びに皆さまの地域での死に装束状況は如何?

 

                おしまい。

 

※遺体の額に三角の布を取り付けること自体の由来としては諸説あるが、死に装束は遍路・巡礼・道者を象っているから、僧体の装束であった角帽子や角頭巾を模したのが本来の意味であり、後になって菩薩の宝冠であるとか貴人の天冠であるという解釈が施されたのかも知れない。

 

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