アガサ・クリスティー「鳩のなかの猫」のこと | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

※各段落の頭文字を繋ぐと、「は・と・の・な・か・の・ね・こ」となるように工夫しました。

 

 

 

初めにイギリスの名門女子校の人物関係がテンポよく丹念に描かれる。

 

途中からは中東のとある架空の国の革命の話になり、この2つが一体どう繫がるのかと、読み手の興味をそそる。

 

のんびりとした居心地の良さとテンポのいいサスペンスが同居する語り口は、正にクリスティーの独壇場だ。

 

何人かの登場人物が殺され、ストーリーは徐々にミステリらしい様相を呈して来る。

 

「隠し方のトリック」に類する興味もあって、隠し場所については早い段階で読者に予想がつくものの、その隠された「物」がどうなるのかという展開がプロットの要となる仕掛けだ。

 

残り100ページ近くになってもポアロが登場しないので、今度はそちらも気になって来る。

 

ネットのレビューなどにはポアロの登場が遅すぎると書いている人も多いが、この遅い登場こそがまた心憎いばかりの演出だ。

 

国際謀略ロマンの要素があるから本格ミステリと言い切れないというレビューもあるが、ミステリ的要素をしっかりと含めた上で胸躍る痛快な物語=「ロマン」に仕立て上げたこの作品は、私にとっては実に楽しく面白い作品だった。

 

 

※各段落の頭文字を繋ぐと、「は・と・の・な・か・の・ね・こ」となるように工夫しました。

 

 

              おしまい。

 

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