宿坊に関する総まとめ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

時々、知り合いの皆さまが仏教に関する新聞記事を見つけて私に下さることがあるのだが、さて、先日、三井寺のとある塔頭を宿坊として開放することになった旨の記事(2018年8月2日付讀賣新聞夕刊関西版)が載った新聞を、ある方が教えて下さった。
 
「三井寺が、境内にある空き家になった元僧坊(妙厳院)に、訪日外国人を含めた参拝者らを宿泊させる民泊を始めた」というのが記事の概要なのだが、そのことよりも、その事業を手掛けているのが株式会社「和空」であるというところが気になった。
 
「和空」と言えば、大阪天王寺区にホテル風の「宿坊 和空下寺町」をオープンした際に、「月刊住職」から取材を受け、「お寺ではないのに宿坊と宣伝する一般社団法人はお寺の味方なのか 寺院を利用した新たな宿坊ビジネスを問う」というタイトルの記事で批判的に採り上げられていた会社ではなかろうか(2017年9月号)。
 
ここでは、その記事の内容の是非は問わないが、ただ、仏教業界雑誌である「月刊住職」の、「お寺ではないホテルや宿泊施設を宿坊と呼ぶのは如何なものか」という論点が、私には興味深かった。
 
「宿坊」とは本来、お寺に付属するのものではあるが、「巡礼宿」はお寺に付属しているとは限らない。そして、「巡礼宿」のことを慣例的に「宿坊」と呼ぶ用例は、必ずしも皆無であるとは言い切れない。
 
「月刊住職」が「宿坊」の定義として引用している「岩波仏教辞典」の説明は、ほぼ他の仏教辞典や仏教書と同じ内容だが、それらも踏まえた上で、私は以前からこのブログやホームページに、何度も宿坊や僧坊や巡礼宿について書かせて頂いている。それらをまとめて以下にリンクを貼らせて頂いた。
 
ちなみに、「現在では私営の巡礼宿のことも宿坊と呼ぶ場合があるが、本来、「宿坊」=「宿房」は、寺院に付属する宿泊施設だけを指すのが原則だった」というのが、私の結論だ。