前者はお寺の小僧さんたちが主人公の映画。タイのサーマネーン(沙弥=小僧さん)の様子が、とてもリアルだ。後者はタイの僧院内での殺人事件をスタイリッシュな演出で描く異色作。何度見ても私の語学力では不明な部分があって、今回、見直してみたがやっぱり分からない。
ちょっと思い付いて、インターネットではなく、書店で調べてみようと思い立った。四方田犬彦氏の「映画天国アジア」(白水社)とその後に出た「アジア映画の森」(作品社)だ。因みに四方田氏は「アジア映画の森」にもコラムを寄せている。
本屋で探してみると、香港、台湾、中国、インド映画以外のアジア映画関係の本というのは、意外と出ていないことに気が付いた。そして上の2冊に、「Mindfulness and Murder」は勿論のこと、私が見たことのあるタイのお坊さん映画は、一切、出て来なかった。
それならば、洋泉社の映画秘宝シリーズのムックに何かないかと思って探してみたが、アジアのアクション映画や、洋画邦画の怪奇映画、ミステリ映画に関する特集はあるが、タイのお坊さん映画の載っているような本は、私の見たところでは見当たらなかった。
結局、今のところ、いつも紹介させて頂いている、「タイ映画ライブラリー」
というインターネットのサイトが、タイ映画に関する情報源としては、一番、充実していることが分かった。
四方田氏は英語、仏語などには堪能なのだろうけれど、タイやインドネシアでAPIフェローとして怪奇映画を研究に行き、アジア各国の怪奇映画DVDを買い漁った時は、本文からはさり気なく省かれいるけれど、きっと現地の通訳兼コーディネーターみたいな方を同行しておられるのだろうと、失礼なことを勝手に想像しながら、私にも、誰か「Mindfulness and Murder」について、詳しく解説してくれるようなタイ事情通が現れてくれないものかなあなどと、夢想してみたりしている次第。

※その後、大型書店で四方田犬彦著「アジア映画」(作品社)や同じ作品社刊の「アジア映画で世界を見る」、及び佐藤忠男著「私はなぜアジア映画を見続けるのか」(平凡社)などもチェックしましたが、特に記すべきこともありません(追記・2018年5月16日)