タイとラオスのハムニャ仏 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

インドのブッダガヤ日本寺同期のH師がラオスのルアンパバンに行って来られたという内容のブログを読ませて頂いた時に、さすがはアジア仏教に詳しいH師ならではの、詳しい現地の最新情報だと感服していたところ、当のH師からメールでご質問を頂いた。
 
「タイ仏教に関する質問があります。「ストップ!」「ちょっと待って!」のようなお姿で両手を前に出している立像の仏像はタイにはなく、ラオスだけの形であると現地の人が言っていましたが、タイではあまり見られないものなのでしょうか」というのが、その大よその内容だったのだけれど、そうしたお姿の仏像を、私はタイで何度も見た気がするのだが、あいにくと確信がなく、また手持ちの本などに、そのポーズをしたタイの仏像が見当たらない。
 
ラオス関係の本を見ると、まず「仏の里・ラオス」という写真集に、こんなページがあった。
 
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※「仏の里・ラオス」(太田享著・東方出版)85頁
 
さらに「挑戦する仏教 アジア各国の歴史といま」の姉妹編である「アジアの仏教と神々」(共に出版社は法蔵館)に、この形の仏像がラオスでは「ハムニャ仏像」と呼ばれていることが記されていた。
 
イメージ 2
 
※「アジアの仏教と神々」165頁 
 
また、上の画像の次のページの池上要靖氏の説明に、「ワットに祀られた主尊の仏陀像のほとんどは、降魔成道の印を示しているが、須弥壇の両側に置かれる脇侍のごとき仏陀像は必ずといってよいほど、施無畏印を示している。両手を肘まで上げて、胸の辺りで手のひらを正面に向けている立像もある(ハムニャ仏)。この仏像は悪いものから、われわれを守ってくれる仏だとラオスのお坊さんたちは言うが、日本で説かれる施無畏印の説明とは、ちょっと趣きが違う」といった内容のことが載っている。
 
後はインターネットでの検索なのだが、まず「ハムニャ仏」で調べたら、僅かに4、5件しかヒットしなくて上記の本以上に詳しいことは分からず、そしてタイの仏像に関しては、ハムニャ仏と同じ形状の仏像の画像が、皆さんのブログなどの中に多数、存在した。
 
ただ、私自身の手持ちの本や自分が撮った写真に、このポーズのタイの仏像が見当たらないので、「この形はタイにもあります」と言い切れないのが歯がゆい。
 
タイでこの仏像をよく見たり、写真を撮ったことのある方なら、それこそこのブログの記事が歯がゆくて堪らないかも知れないが、新たな発見があれば、また報告させて頂くことにして、とりあえず、「この仏像の印とポーズはタイにもあるようだが、ラオスでは特にハムニャ仏と呼ばれて、一層ポピュラーである」というところで、今回はご容赦頂けますでしょうか、H師?