仏誕会読書感想文 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

・4月4日は2010年に亡くなった漫画家の佐藤史生の命日だったので、久し振りに彼女の作品を読み返してみた。
「ワン・ゼロ」や「アシラム」をインドの日本寺に持って行ってまで読んだ話は以前にも書かせて頂いたことがあるが、最初の作品集である「金星樹」に含まれた「花咲く星々のむれ」や「金星樹」の時点から、絵柄はまだまだ未熟なのに、大人びた論理的な台詞は後の名作と少しも変わらず、「精霊王」「楕円軌道ラプソディ」「やどり木」「アレフ」「タオピ」といった絵も美しくなった中期の名作から、「バビロンまで何マイル」という、晩年の軽みに達した傑作まで、一貫してその天分は揺るがないということを、今回の再読で改めて思った。
 
・古い本を読み返すことが多い私が、探偵小説以外で久し振りに読んだ新刊が、「キリスト教神学で読みとく共産主義」(光文社新書)で、著者はあの佐藤優氏だ。
仏教徒である、もしくは仏教に興味がある、仏教を勉強していると広言する文化人や有名人は多い。学者、作家、作詞家、評論家、コメンテーター、俳優、芸人、コメディアンなどなど。
こんな言い方は失礼ながら、自らを仏教徒であると表明することは、仏教の性質上、そんなに難しくないと思うのだが、自身をキリスト教徒であると公言すること、神を信じていると表明することは、本当の信仰がなければ難しい。
同志社大学神学部を出たキリスト教徒であり、特異な経歴を持って、テレビでも活躍するあの佐藤氏が、如何に神を信じ、如何にキリスト教神学を理解しているのかを是非知りたくて、この本を読んでみた。
 
・今日、4月8日は大乗仏教におけるブッダの誕生日、仏誕会だ。
これも久々に「釈尊の生涯」(水野弘元著・春秋社)を読み直してみた。
宗門大学を出ていない私は、インドのブッダガヤ日本寺に派遣が決まるまで、この本を読んだことがなく日本寺を運営する国際仏教興隆協会の先生に渡印前に読んでおくようにと言われて、初めて手に取ったものだ。
釈尊が「天上天下唯我独尊」と誕生時に天と地を指差して言ったというのはもちろん伝説だが、成道直後に出会った異教のウパカという人物(「ウダーナヴァルガ 感興のことば」にも出て来る)に語った、私の悟った法はこの上もなく優れていて唯一無二だという意味の言葉が元になっている、そしてこの「唯我独尊」伝説は、決して大乗仏教以降にできたものではなく、すでにパーリ仏典に見えている古いものである、ということが書いてあることに、実は今回、初めて気づいた。
 
 
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「これは無上の方です。人間のうちで最上の人です」
 ーブッダが生まれた時にアシタ仙人が述べた言葉
「スッタニパータ ブッダのことば」(岩波文庫・中村元訳)151頁 より
 
 
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