プラユキ・ナラテボー師との再会…面白うて やがて奇しき プラユキ師 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

余り星の見えない町に生まれ育ったもので、学校で「オリオン舞い立ちスバルはさざめく」という歌詞の「冬の星座」を習ったものの、実際のオリオンを見た覚えは、十代の半ば頃からの記憶しかありません。

さてさて、よく冷えて冬の星座がよく見える晩に、普段なら決して近寄らない年末の雑踏に分け入ったのは他でもなくて、帰国されている日本人上座部僧のプラユキ・ナラテボー師と、1年振りにお会いできることになったからです。

忙しいご法務の合間に、それも日本全国各地を飛び回っておられるのにも関わらず、その道中の合間で、ちょうど私の現在地と上手くすれ違うように、お時間を調整して下さいました。

ほんの僅かな時間でしたが、その再会の楽しかったこと、最近の著作や活動に関する思いも寄らないエピソードもたくさん聞かせて頂いた中で、余談に渡ることながら、プラユキ師がご出家前の日本での学生時代に、重い本をどっさり詰め込んだリュックをいつも担いでおられた話などをお聞きして、そうした蓄積が今の師の一端を形作っておられるのだなあと、感銘したりも致しました。

いつもは人の話を聞く立場の私が、こんなに自分のことばかり喋ってしまってと仰った師のお言葉こそが、何より私への法施だと、今日、感慨を新たにしていると、その楽しかった感触が、いつの間にやら自分の仏教への思いを昂めてくれていることに気がついて、正に「地上に降りしく奇(くす)しき光」の如くに夜の中を遠ざかって行かれたプラユキ師のお姿を、懐かしく思い返している次第です。

                            おしまい。